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□恋心?
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此処は、暁の数あるアジトの中の一つ。そして此処は中でも比較的メンバーの集まりやすいところだった。かくいう今日も、メンバーの半数以上は集まっている状態だ。そんな中、ある部屋から謎のうめき声が聞こえてきた・・・。
「うー・・う〜ん・・・。」
この声の持ち主はどうやらデイダラのようだ。彼は何をそんなに悩んでいるのだろうか?
数時間前
芸術コンビの二人はある任務を終え、これからアジトに帰還するところだった。これはその時の出来事の一部分である。
二人は任務を終え、特に急いで帰るような用があるわけでもなかったので、ゆったりと歩いてアジトへと向かっていた。
「今日の任務はちょっとあぶなかったなぁ・・・うん。」
「・・・それはてめぇが後先考えずに突っ走ってったからだろうが・・。おかげでヒルコが壊れっちまったじゃねぇか(怒)」
「あー・・うん、わりぃ旦那。久々に楽しめそうだったから・・・つい、うん。」
「ったく・・あそこでてめぇが飛び出さなければもっと楽に済んでたものを・・。」
「あーほんと悪かったって。・・・でも、やっぱ命の散る一瞬はいいな、うん。芸術は一瞬の美だな、うん。」
「何言ってやがる、芸術ってのは長く美しく後々まで残っていくもの・・・永久の美が芸術だ!」
「旦那こそ何言ってんだ!芸術ってのは一瞬で散ってこそ価値があるんだよ!」
「てめぇ・・・うぉっ。」
「え?・・・うわっ!」
どさっ
「・・ててて、なんなんだよ・・・・Σはっ//」
今二人がどんな状態かというと・・・・。
距離がゼロに近く、ほぼ密着している状態・・はたから見れば、サソリがデイダラを押し倒しているようにも見えるのだ。そして顔が近い。大事なことだから二回言おう。そして顔が近い。
どうやらサソリは先ほどの戦闘で足の関節が壊れてしまったらしく、バランスが崩れて倒れてしまった。運がいいのか悪いのか、倒れたのはデイダラの上だった。そして今の状況にいたる。
「あーびっくりした(棒読み)」
「びっくりしてるようには見えねぇよ!というか早く上からのいてくれ!!(顔が近い//)」
「あ?・・どこから声が聞こえるのかと思ったら下にいたのか。」
特に表情を変えるわけでもなく、ゆっくりと体を起こすサソリ。
「・・・。(あれ?なんでオイラこんなに慌ててんだろ、それになんか・・・ドキドキする・・。)」
「何ぼーっとしてんだ、デイダラ。」
そう言って顔を覗き込んでくるサソリ。
「Σ///(ど、どうしちゃったんだ!?オイラ・・なんでこんなに胸がドキドキするんだ!?)」
「あー・・関節壊れてら。これじゃ歩けねぇな。おい、デイダラ。」
「はぃいぃいぃ!?」
「?何をそんなに驚いてんだ?・・まぁいい、歩けないからおぶってけ。」
「えっ!?あ、いや、あの・・。」
「もとはと言えばお前のせいなんだからな、拒否権はない。」
「うっ・・はい・・・。」
そして冒頭に戻るわけだが・・・。
かれこれ数時間、デイダラはひたすら悩んでいた。
「(うー・・・なんなんだ?この気持ちは。なんか・・・旦那のことを思うとここらへんがどきどきして、苦しくて・・でもなんか心地よくて・・・。Σはっまさか何かの病気か!?うん!?)」
・・・鈍感なデイなのであった。
だが、こうして一人で考えていてもらちが明かない。そう思ったデイダラは、幸い今日は何人かアジトにいるようだし誰かに相談してみよう、とリビングの方へと向かったのだった。