短編

□期待を裏切らない【幼なじみトリオ】
1ページ/1ページ

□期待を裏切らない




「ジローが......!!」

「起きてる!」



かこかこと携帯をいじっていたら、突然そばから息を飲む声が上がった。
思いがけずあがった自分の名前に、俺はぼんやりと言葉を発した二人へと視線を移した。
驚愕の表情の二人。
この二人が思っていることが分かって、俺はにんやりと笑う。



「へへっ!俺、今日まだ居眠りしてないよ!偉Eー?」



別にそこまで驚かなくてもEじゃんかー、失礼だなー。なんて思う反面、誇らしい気持ちもあったりして、俺は笑顔でそう言った。



「「嘘だろ!?」」

「嘘じゃないCー!」



疑いの視線を向ける二人に俺の必死の主張が通じたのが、二人はようやく信じてくれた。



「ジローにしてはすごいぜ!」

「褒めることじゃねーだろ。当たり前のことだ、当たり前」



そんなんで喜ぶなんて激ダサ、なんて宍戸の言葉が別の声に遮られる。
視線を向ければ、クラスメート達が、俺を見て驚いていた。



「ジローが起きてる!!」

「へへー(ノ´∀`*)」



照れ笑い。そして、視線で褒めて褒めてと訴えるが、彼等はそんな俺に気づかず、好き勝手言いだしていた。



「やばい、これ。今日雪が降るんじゃない!?」

「だからさ!天変地異の前触れ!!」

「いやいやいや、さすがにEすぎでしょ!?俺たまに起きてるときあるC!」

「寝てるのしかみたことない」

「( ̄□ ̄;)!!」



失礼すぎない!?
俺が反論すればするほど、がっくんと宍戸を含めた彼らの物言いはエスカレートしていくから、俺はもういい!と話を打ち切り、



「俺、今日はずっと居眠りしないつもりだCー♪」



上機嫌にそう高らかに宣言した。
すると、周りにいた全員が声を揃えて言ったんだ。



「「「「「無理(でしょ)(だろ)」」」」」



あまりの揃いっぷりに、話に混ざっていなかった他のクラスメートもこっちに注目しちゃいだす始末。
俺そこまで信用ない?
結構ショックを受けました。
俺は、ふくれっつらで、目の前の子を睨んでみる。



「まぁ頑張れ」



なんて優しい言葉!!
みんなも見習えよ!
そう言うと、また皆笑いだしたので、俺はもう黙ることにしました。



そして来る六時間目、日本史。
定番の挨拶の後、斜め後ろに座る宍戸が声をかけてきた。



「ジロー、最後頑張らねーと激ダサだぜ!」

「ふふーん♪まかしとけ!」



そう、確かに意気込んでいたんだけどなぁ......。




*・#>(>

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ