短編
□期待を裏切らない【幼なじみトリオ】
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□期待を裏切らない
「ジローが......!!」
「起きてる!」
かこかこと携帯をいじっていたら、突然そばから息を飲む声が上がった。
思いがけずあがった自分の名前に、俺はぼんやりと言葉を発した二人へと視線を移した。
驚愕の表情の二人。
この二人が思っていることが分かって、俺はにんやりと笑う。
「へへっ!俺、今日まだ居眠りしてないよ!偉Eー?」
別にそこまで驚かなくてもEじゃんかー、失礼だなー。なんて思う反面、誇らしい気持ちもあったりして、俺は笑顔でそう言った。
「「嘘だろ!?」」
「嘘じゃないCー!」
疑いの視線を向ける二人に俺の必死の主張が通じたのが、二人はようやく信じてくれた。
「ジローにしてはすごいぜ!」
「褒めることじゃねーだろ。当たり前のことだ、当たり前」
そんなんで喜ぶなんて激ダサ、なんて宍戸の言葉が別の声に遮られる。
視線を向ければ、クラスメート達が、俺を見て驚いていた。
「ジローが起きてる!!」
「へへー(ノ´∀`*)」
照れ笑い。そして、視線で褒めて褒めてと訴えるが、彼等はそんな俺に気づかず、好き勝手言いだしていた。
「やばい、これ。今日雪が降るんじゃない!?」
「だからさ!天変地異の前触れ!!」
「いやいやいや、さすがにEすぎでしょ!?俺たまに起きてるときあるC!」
「寝てるのしかみたことない」
「( ̄□ ̄;)!!」
失礼すぎない!?
俺が反論すればするほど、がっくんと宍戸を含めた彼らの物言いはエスカレートしていくから、俺はもういい!と話を打ち切り、
「俺、今日はずっと居眠りしないつもりだCー♪」
上機嫌にそう高らかに宣言した。
すると、周りにいた全員が声を揃えて言ったんだ。
「「「「「無理(でしょ)(だろ)」」」」」
あまりの揃いっぷりに、話に混ざっていなかった他のクラスメートもこっちに注目しちゃいだす始末。
俺そこまで信用ない?
結構ショックを受けました。
俺は、ふくれっつらで、目の前の子を睨んでみる。
「まぁ頑張れ」
なんて優しい言葉!!
みんなも見習えよ!
そう言うと、また皆笑いだしたので、俺はもう黙ることにしました。
そして来る六時間目、日本史。
定番の挨拶の後、斜め後ろに座る宍戸が声をかけてきた。
「ジロー、最後頑張らねーと激ダサだぜ!」
「ふふーん♪まかしとけ!」
そう、確かに意気込んでいたんだけどなぁ......。
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