短編

□驚かさないでよ【東西ルーキーズ】
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ぼーっと窓の外を眺める越前。
そして、その隣には「わいのたこ焼き〜」「毒手嫌や!」などと変な寝言を呟いている金太郎が居た。


これは、四天宝寺と青学テニス部のレギュラー陣合同合宿の帰りのバスでの出来事である。



ふと、顔を上げた越前の目に映ったのは、通路に向けて体を倒している金太郎の姿だった。



ぐらぐらゆらゆら、舟を漕いでる金太郎。



最初は危ないな。程度に思って、こちら側に体をひこうと思ったその瞬間。



カクン

金太郎の体が手すりを越えて通路に倒れこもうとした。



「っ!!!!」



素早い動きで、力強く、金太郎の腕を引く。



「うわっ!?!?」



金太郎の叫びで、一瞬静かになった。

だけど、驚いた当の本人達には関係ない。
というか、それどころじゃない。



「お前、危ないっ」

「へ?」



寝ぼけてキョロキョロと辺りを見回す金太郎。
その姿に越前はため息をついて、自分の膝を叩いた。
さっきまで抱き抱えられていた荷物はいつの間にか、座席の下へと移動していた。



「落ちそうで怖い。
危ないし、別に俺にもたれてもいいよ」

「あぁ、堪忍なぁー……」



寝ぼけ眼の金太郎は、柔らかい笑顔を越前に向けて、肩にもたれた。
そして、そのまますぐに寝息をたて出す金太郎。



「……」



空いた膝に置いた手を、金太郎の額に置く。
肩に体重を預けたといっても、未だにバランス悪く舟を漕いでる金太郎が落ちるのを防ぐためだろう。



そして、無表情で視線を再び外に向ける越前だった。


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仲良し二人組もいいなぁって。
ちなみに二人が隣同士の理由は、金ちゃんが駄々をこねたんじゃないでしょうかねぇ。


「わい、こしまえの隣がええ!」

「なんで、わざわざうるさいヤツの隣に座らなきゃいけないわけ?
俺疲れてるんだけど」

「いーやーや!
わいはこしまえの隣に座るって決めたんや!」

「だから嫌だってば」

「こしまえ、バス来たで!?
はよ行こ!!
ええ席なくなってまうで!」

「え、ちょ、引っ張らないでよ!」



みたいな流れがあったらいいなーみたいな。


ほんと、通路に落ちそうでビックリしましたよ。
上手く引き戻せてよかったぁ。


2012/07/16

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