短編
□目が離せへん
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危なっかしいよ、お前【謙也+白石】
「え?
正門から出ると違うん?」
「え?
俺はてっきり裏門のとこかと思うとったんやけど」
流れで白石の進む後を追っていたのだが、裏門を出たところで、お互いが反対の道に進もうとしたのだ。
「正門とこの販売機、撤去されたんやなかった?」
「されてへんよ!?
ちゃんとあるで!」
「ほんまかいな」
「嘘ついてどないすんねんっちゅー話や」
とりあえず、飲み物が買えればそれでいい謙也は、白石の好きな方でええよ。と言って、裏門側の販売機に向かうことになった。
決まるや否やさっさと歩き出す白石。
「めっちゃ車多いな」
「朝やからやろうね」
いつの間に取り出したのか、携帯を打ちながら歩いている白石。
ちょお、白石それ危ないで!?
車の行き来が激しい道なため、歩道となるはずのスペースがない。
せやから俺らは縦一列になって歩いとったんやけど……。
普通に歩いているが、段々と車道側に近づいていく白石の体。
「白石、危ないで」
「んー」
こいつ、聞いてへんやないか!?
「白石、携帯止めぇ?
車にひかれてまうで?」
「そんなことにはならへんよ」
「いや、なりそうやから言うとるんや……って、白石危ないっ!!!」
エンジン音で、スピードをだして後ろから近づいてくる車に気づき、白石の腕を引き、抱き止めた。
ビュンと飛んでいくように去っていく車。
「白石〜!」
せやから危ないゆうたやろ!そう言おうと顔を見たら、驚いて目をぱちくりさせている白石。
はは。
これに懲りたら、歩きながら携帯は止めてな?
白石が携帯を止めて歩き出すのを確認して、満足気にうなずく。
もうこれで大丈夫やと思うとったんやけど……。
「白石、せめて車がそば通るときは止まろうや!」
「なんでなんでもないとこで躓くん!?」
「わぁ!!
危ない白石!!」
普通に歩いているだけでもかなり危なっかしかったんやこいつ……。
「あ、○○おはようさん〜!」
向かい側の歩道を歩くヤツに手を降っている白石。
そのせいか、体が車道にでてしまっている。
「白石……邪魔なっとるから」
あぁ、ほんまこいつ、危なっかしすぎて目がはなせへんわ。
俺は呆れて笑いながら、白石を歩道に戻した。
2012/07/13
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一緒に歩く人みんなに危なっかしい言われてしまいます。
躓くのは仕方がない。
普段ふざけている人が、さらっと腕を引くなりして助けてくれると、性別に関わらずかっこいいと思います。
ジュースは無事に買えました。