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□冷めない欲※
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どれだけ触れても足りない。
もっと、もっと、と体躯が覚えた快楽を貪欲なまでに欲する。沢山の甘い愛撫と苛むほどの快楽が欲しい。
もっと、もっと、貴方を頂戴。


歯列をなぞり絡み合う舌と肌を滑る大きく熱い掌。次第に上がる熱と沸き起こる快感がじわじわと体躯を侵食していく。巌徒に触れられた所から性感帯に変貌していくように、快楽が生じる。ゾクゾクするほど体躯が震え、下腹部に熱が溜まる。

「海慈さ……、もっと……」

別れを惜しむように二人の唇を繋ぐ銀の糸。痺れるくらい熱く絡み合う舌、とろけそうなくらいに甘く卑猥な口づけ。その間もお互いの体を擦り寄せて求め合う。

「足りないの?」
「ん……、足りな、あっ…」

吐息がかかる距離で、互いの鼻先を触れさせながら囁き合う。巌徒の手がいつの間にか御剣の腰を撫で回していた。ゆったりとした愛撫がもどかしい。もっと激しくて強い快楽を巌徒はいつだって与えてくれるのに、今日に限って与えてくれない。

「やぁ……、んっ……」
「何、御剣ちゃん。……イヤなの?」

動きを止めてしまう巌徒に、頭を振って否定を示す。嫌なのは愛撫ではなくて、もどかしいまでにゆったりとした愛撫。物足りないのが嫌なのだと、伝えたいのに快楽に緩んだ思考は思うように伝えられない。
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