REDLOVER 2

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「ま、マスターさんに、近づかないで・・・ッ」


精一杯振り絞った声だった。
それは聞き取れるか聞き取れないか分からないか細く紡がれ、手の震えを抑えるのに必死だった。


「お前があのアヴリルの娘ってやつかぁ?」

「お母さんを知ってるの!?」


気が付けばそう口にしていた。


「確か、そこのキースってやつと同じ海賊団だったよなぁ、アヴリルは」

「!」


キッドがビブルカードに書いてあった名前を読んだのと同じ名前。
するとピンクの人はさらに口角を上げて楽しげに笑い始めた。


「・・・お母さんは、どこにいるの?」

「知らねェよ、運よく海軍から逃げやがってからは居場所の情報は入ってきてねェ。ただ、娘がいたのは本当だったんだなぁ」


まじまじと舐めるように見られていい気分はしない。
ただ、お母さんの情報を知る初めての人物であることは変わりなかった。


「そんなに知りてェなら着いて来いよ。場所は知らねェが、違う情報なら教えてやってもいいぜ」

「やめなさいお嬢さん!この男を信用してはいけない!!」


ずいと迫ってきたピンクの人から離すようにマスターさんはわたしの腕を引いた。
ぐるぐるとしている頭ではその言葉もすり抜けていった。

手にしていたナイフをピンクの人目掛けて投げたマスターさんにハッと我に返ることが出来た。


「おっと。危ねェなぁ。また今度な、お嬢ちゃん」


ひらりと飛ぶようにそれを避け、何事もなかったように店を出て行ったピンクの人をわたしは呆然と見つめていた。


「・・・・・・・・・」


大丈夫ですか、と優しく背中に手を添えてくれるマスターさんに振り返ると、あの優しい微笑みに戻っていたことに少しほっとする。
大丈夫ですと笑い返すと、冷めた紅茶を淹れなおしてくれた。

再び出された紅茶は変わらずにいい匂いで、一口飲めば一瞬で緊張がほぐれた気がした。


「やはり、君がそうだったんですか・・・」

「・・・あの、さっきの人が言ってたことって・・・」

「・・・・・・・・・」

「知りたいんです、わたしがあの世界に預けられた理由を、キッドと出会った理由を・・・」

「少し落ち着きましょう。ゆっくりお話しします」


焦って事情も離さずに続けてしまったことに気付きなんとか落ち着こうとした。
そして、全ての事情を打ち明けた――











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