REDLOVER 2

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翌日、滞在していた島を出港した。
初めて乗った海に揺られるままの海賊船は、不思議と船酔いを起こすことはなかった。
船の上はのんびりとしていて、甲板では掃除を任されているクルーさんや、キッチンからはお昼ご飯の支度をしているのかいい匂いが香る。

兄はというと、なぜかほとんどのクルーさんと打ち解けて甲板の隅でトランプをしていた。
スーツ姿ではなく、涼しげな恰好をして。
潮の香りを乗せて心地いい風が髪を撫でる。

すると、バサバサと音を立てて何かをぶら下げたカモメが船に近づいてくる。
キラーさんは軽く手を挙げてカモメに合図を送り、コインを渡すと新聞らしきものを受け取った。

この世界でも新聞という情報源は存在するらしく、わたしもそれを見たくキラーさんに歩み寄る、が。


「・・・英語ばっかりで読めませんなぁ」

「特に気に掛けるものはない。この世界のことは後々分かってくるだろうし、今は環境に慣れるのが先決だろう」

「お見通しってやつですか」


この世界を少しでも知ろうとしていたことを、キラーさんは気付いていたらしい。
直球で言われ、苦笑いしか浮かべられなくなる。

パサリ、新聞の間から数枚の紙が手元からすり抜ける。
キラーさんはそれを手に取り、幾枚か見ているうちにピタリと動きが止まった。
その紙と、なぜか兄を交互に見やるキラーさん。


「?どうしたんですか?」


わたしも兄のほうに目を向けるが、特に変わった様子はない。
むしろ、なぜこうも出会って一日であんなに馴染んでいるのかが不思議でならない。
いやいや、そうじゃなくて。


「どうやら、また賞金首が増えたみたいだな」


クスリと小さく笑ってから、キラーさんはその数枚の紙のうち一枚を私に差し出す。


「え・・・えええぇぇえ!!!!??」


わたしの驚きの声が船中に響いたのは言うまでもない。
同じ甲板にいた掃除番のクルーさんはもちろん、トランプをしていた兄たちまでもがこちらを見て目を丸くしていた。

手にした紙は、一枚の手配書。
そこには、兄の写真がしっかりと写っていた。

懸賞金 5500万ベリー。


「な、なんで・・・?!」

「昨日のことしか考えられないだろう」

「デスヨネ・・・」


しばらく、わたしの思考回路はどこかへ吹っ飛んでしまった。






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