守り星

□02
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「誰もいないか・・・・」

書庫へやって来たキアは部屋をぐるりと見回した。

それにほっと息を吐き、近くにあった椅子に腰掛けた。

「疲れた・・・・・」

父親が死に生活する環境が変わって数週間、叔父にもなかなか会えず従兄姉達共馴染めずキアは疲れきっていた。

「父さん、さみしいよ・・・・」

自分自身に聞こえないような声で呟くと、足を抱えこみ顔を押し付けた。

かたん・・・・

静寂の中に、小さな物音がこだまする。

(誰かいる?)

音がした方向に、気配と足音を消し近づいた。

一番奥に子供がやっと入れる程度、本棚と本棚の間に隙間が空いている。
その隙間をキアは覗いた。

(ザンザス?)

隙間の奥にはザンザスが、先程キアと同じように足を抱え座り込んでいた。

その顔はいつもの不機嫌そうなものではなく、ひどく悲しげで。

(泣いてる?)

「泣いてるのかい?」

今にも消えてしまいそうな、その表情にキアは思わず話しかけていた。

その言葉に、ザンザスはばっとこちらに視線を向けた。

「大丈夫かい?どこか痛い所でもあるの?」

「うるせぇ!泣いてなんかいねえ!オレに話しかけんな!」

ザンザスの怒鳴り声に、キアは怯むこともなく、不思議そうに首を傾げた。

「泣いてなかったのかい?とても寂しそうだったから。」

その言葉にザンザスは顔を真っ赤にし、部屋から飛び出した。

「余計に嫌われちゃったかな?」

一人取り残されたキアは、そう悲しげに呟いた。
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