守り星
□04
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「では、行ってらっしゃいませ。」
ザンザスの世話人であるオッタビオの声に促され、二人は車を降りた。
ケーキ屋は車の通れない道からしかいけず、二人っきりで取りに行くことになったのだ。
車を降り、貰ったお金を確認すると気合い充分で拳を握る。
(九代目に初めて頼まれたんだ!頑張るぞ。)
そう思い、隣を向くと相棒の姿はない。
ザンザスはキアのことを無視してさっさと歩きだしていた。
「ザ、ザンザスまってよ!」
追いつてきたキアをザンザスは面倒そうに睨み付けた。
(これじゃあ、また置いてかれるや。)
そんなキアはとっくのとうにザンザスの扱い方を心得ていた。
「ザンザス、手を繋いでくれないかな?」
キアの申し出をザンザスは無視し続ける。
「ザンザス、さっきみたいにはぐれたらどうするんだい?九代目は二人で行って来て言ってたよね?」
その言葉にザンザスは忌々しげに舌打ちすると、キアに手を差した。
それにキアは嬉しげな様子でその手を握った。
(よし、これではぐれることはない。)
キアがほっとし、そう思いながら横をみると、ザンザスが辺りを物珍しげに眺めていた。
(珍しいんだろうな。屋敷から出るなんてなかなか無いだろうし。)
そこで一つ、キアはとあることを思いついた。
「ねえ、ザンザスケーキ取りに行った後どこかによらないかい?」
その言葉にザンザスは少なからず衝撃を受けた様だった。
「・・・てめえ、自分が何言ってんなかわかってんのか?」
「わかってるさ、もちろん。でも、屋敷を出るなんて当分ないよ?少し立ち寄るぐらいしようよ。お金も余分にもらったるし。」
何か欲しいものあったんじゃない?
ザンザスは自分の大嫌いなキアの微笑みと共に言われたその言葉に、心がぐらついた。
頭の中には先程見た、おもちゃ屋が思い浮かんだ。
「・・・ある。」
小さく呟けば、キアはそうと頷いた。
「じゃあ、後で寄ろうか。」
キアの気のせいなのかもしれなかったが、ザンザスの手を握る強さが強くなったように感じた。