セカコイ リクエスト小説

□不協和音の夢
2ページ/6ページ



「すみません電話とってください!」

「おい誰だ今原稿もってるの」

「コピーしてきて」

「おい高野いるか! 部数たりねーよ!」







周期に突入した。

それと同時にどんどん俺は自分の居場所に困っていた。




そう



寝すぎて足手まといになってしまった俺は
仕事を木佐さんや羽鳥さんにまかせきってしまっているのだ。


俺もねたいよ

とか言われる始末で






俺はどうしようもならなくなる。




寝る時間はそれぞれだった

10時間丸まるねたり

15分だけだったり


ただ 恐ろしいのが 日に日に眠くなるタイミングが増えていることだった。

日中には何度も眠くなり
頬をつねっても寝てしまう。


この前なんか会議中に寝たのだ。







(あああ 死にたい

社会人としてどうなんだ…)









そう思って目をとじると


嵯峨先輩の声が聞こえた。








『つらいだろ おきなくていーよ

俺とずっとこうしてよ』



え でも そんなことしたら


みんなの迷惑に





『大丈夫』








死んだら迷惑もなにもないだろ











部屋の隅

俺は震えながら逃げていた。

だれから?


嵯峨先輩から







なんでこんなことするんだよ


嵯峨先輩は包丁を持っていた。














「なあ 今の俺のほうがいいだろ」






怖い 怖い


俺はあわてて部屋から飛び出した。


雨が降っていた外は


寝ているはずの俺の体温を奪っていった。


足先も髪も異常に冷たくて


それで。








「はぁっはあっ」


しかしこれは所詮夢なんだろう。
どれだけにげてもループしているのか
嵯峨先輩の家が近くにある。


すると セーター姿の彼がでてきた

先輩…








包丁はもっていない

でも泣いていた






なんで捨てるんだよ と


俺たちが別れた空白の十年間
高野さんはこんな風に泣いたことがあったんだろうか
ばからしい

これはゆめだ

でも。



「真剣だったのに笑うから

痛い目みるんですよ」

俺がそういうと 嵯峨先輩は無表情になった。怒っているのか?
俺は悪くない
俺は悪くない

俺は

俺は







「ごめん…わかったから

待って



もうどこもいかないで ほら







うちにおいで」







やさしく抱きしめられた。





最近仕事で忙しくて高野さんはそんなことしてくれなかった。



抱き寄せて


ゆがんだ体

埋めるのはあなたしかいない


ねえ 嵯峨先輩


そうでしょう





しょせん夢だ

でも


夢と現実の境界線は 俺にとって
もうとっくにこえてる。











雨の中抱きしめあった








俺たちはそのまま あの部屋でベッドに入った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ