セカコイ リクエスト小説

□黒猫少年と僕
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夢の つづきを見た。



猫に手をひっかかれてしまい
痛みでどうしようもなかった律のそば


気づいたら少年が立っていたのだ。

年上だろうその人は
あんなに気性が激しかった猫を数回なで
律を見た


「怪我?」


「えっああえと、うん」

すごい あっさりとなつかせるなんて
魔法みたいだ。

少年は

黒髪。さらさらしてて
決して身に着けてるものは律が今まで家で紹介された人間にくらべたら
高価なものではないのに
もつオーラそのおものが高価で美しかった。


「みせて」

律のけがのことだろう
けれど律はきょどりながら拒否した

「ぼ、僕学校に」

「あほ 化膿すんぞ」

「え」

たしかに傷口はそれなりのばい菌が入ってるらしく無駄に痛い。

けれど男たるものが…

律が顔を伏せてそういうと
つまらなそうに少年は言った

「男も女も怪我したら治療すんのに
変わりはねーだろ
ぐちゃぐちゃいうな それこそ女々しい

それにな 男らしく見られたいなら

第一人称僕ってのやめろよ」

そういう少年は、男らしくて。

「きみは…自分のことなんてゆーの?」


「俺」


「へ へえ…」

思わず見惚れてしまう。
なんだろう ぼく よりずっと格好いい響きだ。
母は嫌いそうだけれど。


少年は律の怪我を
水道で洗うと
鞄から大きい絆創膏を取り出し 張った。

「すごい なんで持ち歩いてるの?」

律がそういうと
少年はさもつまらなそうにこたえた。

「俺がしょっちゅー怪我すっから。
で だれも診てくれねーし
自分ですんの。

お前も誰にも迷惑かけたくないとか思うんだったらさ それなりの知識つけてからにしろよ


だれだって
最初と最後は迷惑なんだからさ」


なんでだろう

枯葉が別れをせきたてるように 舞っている。

律は特に考えもせず
言っていた

「そうかな


相手が、それを迷惑っておもうかどうかじゃないかな」

いってから失礼だったかなと思おうが
否定する気にもなれない

律には
少年のさす


最初と最後が


いつのことなのか、わからない。

でもそんな律をみて
少年は笑った。


「たしかにな。俺もお前の治療してやったけど
迷惑とは思わなかったな」


それはよかった。

手はまだズキズキいたむけど
胸のほうにすこしうつったのか

和らいできた。


胸のずきずきは増していく。
なのに役目を終え、名もつげず少年は去ってしまった。

なんだ 結局痛みを分散させただけじゃないか。

なんて思って。


律は少年を見送り、笑おうとした。

でもなぜだか

うまくわらえなくて。






また いつかあえるよね。








幼なじみが駆けつけてくる

「りっちゃん
一緒にいこ あれ、手どうしたの?」

「けがしちゃってさ」

「うっそぉ!? 保健室で見てもらおうよ
自分で治療しちゃだめだよ」

「ううん、でも このままでいい。


僕はー…










俺は、男だからね」


「ええ〜そんな理由ってないよ〜」








ああ。猫は触るのが怖い

だってひっかかれるかもしれないし
嫌われるかもしれないし
内心なに考えてるかわからないじゃないか。

でも

特に何も考えずに
猫と寝るのすきだな







もしかしたら


それだけでいいのかもしれない。









猫の目も威嚇も鳴き声も 怖いけど実は好きなんだ。









まるで あの少年を見ているようで。

あの少年は そう。


自由できままで強気な

真っ黒の







野良猫なんだ。
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