セカコイ 短編

□ラブラブ暗黒時代!
2ページ/3ページ


「おい 律?

だから数学に世界史図鑑関係ない
って何度言えば…」


本棚のかげ。


大人に成長した律を見て


嵯峨は目をまん丸にした。




「あ…」

しばしみつめあう。

嵯峨の一方で

律は
胸が高鳴っていた。

(わ 若い…)



高野みたいに冷たい視線ではない。
すこし憂いがあって


なにより


「(かわいいいい!!)」


律はすこし自分が崩壊するのを感じた。

「律? なのか…?

大丈夫か? なんで服が…あと身長が…」

「す
すみません 信じられないですよね
でも信じてください!

過去と未来の俺が入れ替わっちゃったんですよ」

「わかった信じよう」

「はや! そこはもっと疑おう!?」

律は支離滅裂なことを言ったが
嵯峨は

「だって鍵しめたし
ほかのヤツが入ってこれるはずない」

と呟いた。


そうかそうか。


「ってなんで鍵閉めたんですか!?」

「ちょっと…

まあ

うん 


ヤろうかなー。みたいな」

いたずらを見つかったように視線を泳がせる嵯峨。


律にとっての嵯峨は

もっと知的で理性的で
暗く寡黙な少年であったのだが。

意外と大人になってから見てみると

こう…欲望に忠実だったり
幼かったりする風に見えた。


意外だ。

そんなところも可愛くて

好き  だなあ。


「とりあえず 立てよ」

嵯峨が真っ白な手を差し出してくれる
律は高野相手だと
強がってつかまないそれを

恐る恐るつかんだ。

嵯峨の前だったら

素直になれるのかな
なんて

思ったんだ。

「ありがと…」

「…色っぽいな」

「え?」


ふと

唇にふれる感触


「これ以上は

まだお前のことよく分からないから
出来ないけど
いつ戻るんだろうな。

お前」


キスされたのか。

そう思うと幼い頃に戻ったかのように
頬があつくなるのを感じた。

「っていうか
無断でキスしないでください
今の俺と貴方は 付き合ってないんですから…」

「は?」


信じられないという風な顔をした嵯峨に

律は内心ホッとした。


だってそういう顔をするってことは
未来まで付き合って当然という考えが
彼の中にあったからだろう?

律はこの十年間のことを
全部話した。

横澤

という存在も。

こんなことしていいのかって思うけど
同じ失敗を繰り返してほしくないし…。





嵯峨は泣きそうな顔をしていた。



「ご ごめんね


こんな話しちゃ…」

ぎゅっ

と抱きついてくる

律よりも小さい頭



「りつ  りつ

やだ。


いなくなっちゃいやだよ」





服にしみていく涙…。


律も同じくらいの痛みを味わったが…

それ以上に

ちょっと…




「(やばい

抱きたい)」




攻めと受けが入れ替わるような発言を心の中でした

律であった。





(りっちゃんキャラ崩壊してきた! すみません!)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ