素敵な貰い物♪

□愛しい人のために
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二人でコーヒーを注文して、少し仕事の話をしていたが
いつの間にか律の話になっていた。




「律は小さい頃から本が大好きでね。
私はよく本を読んであげてたんだよ。
目をキラキラと輝かせながら私の読む本を見ている姿は、今でもはっきり覚えているよ。」



そう律の親父さんは柔らかな表情で話していた。昔を懐かしんでいるように見える。



「一人息子だったから、甘やかしてしまって、仕事とかでお役にたててるかどうか心配でね。
自分の会社も辞めてしまって、今じゃ畑違いのマンガ編集やってると聞いてビックリしてしまって。」



「小野寺くんは凄く努力家なので今では大切なうちの戦力ですよ。
それに、最初はやはり文芸に未練があったみたいですが、今じゃ一人前のマンガ編集者になろうって頑張ってくれてます。」


俺がそういうと、律の親父さんは安心した顔になった。



「そうか、そう編集長さんに言ってもらえて良かった。
あの子は誰よりも…認めてもらいたくて必死に頑張っているからね。」




「それは…」




「恥ずかしい話、うちの社員で悪口言われてたのは知っているんだ。
社長の息子と言うのは、なかなかコネだなんだで認めてもらえない。
…私もそうだったからね。」




「…助けてはあげないんですか?」




「注意をすればまたひどくなる一方だし、この事は、あの子には自分自身の力で乗り越えてもらいたいんだ。
辛い思いをしてるのは…わかってるんだがね。」






そっか…ただ放っておいている訳じゃない。


ちゃんとこの人は律のことを見ている。




乗り越えてほしいんだ、律に…





「仕事も乗り越えてもらいたいが、何より律には幸せになってもらいたい。
いつか結婚して、子供を授かって…
いつか私が律にしてあげたことを、律も自分の子供にしてあげてほしいんだ。
孫を抱っこできるのも楽しみでね。」






そう言って律の未来の幸せを願いながらコーヒーを飲む律の親父さんの姿は、凄く優しくて…











もし俺が律と付き合ってることをこの人が知ったらどうなるだろう。



男同士で付き合っていて、世間から認められる訳もなく、しかも、子供を産むことすらできない。






この人の考える普通の幸せは…





望めない…








俺はそんな律の親父さんに何も言えなかった。
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