セカコイ 長編

□小野寺律=りっちゃん!5
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「泣くなよ




抱き締めたくなるから」








それは 泣くのを止める理由になんてならない。



二人は時折抱き締めあい

ぽつぽつと話して

電車に乗り


高野の 家の前まで来た。



家っていうか、マンションだ。



7階立てくらいかな
たてっていうより よこに長い。




ここで 執筆をし

息をして

生活をしてるんだ



つい最近までずっと遠く

実在すらなぞだった存在が

こんなに近くに居る。








「彼女に120万渡して そこからはもう
ふつーのカップルだ。

同居したっていい」


「俺未成年なんですけど」


「気にするな」







高野さんは案外横暴だった。
あの荒々しい
やさしい 抱き方からも想像がついたけど。

ていうか 今ははやく服を着替えたい

男とばれた今

女装はきついし。




そんな風に羞恥と期待とこれからの恐怖
いろんなものが入り混じっていたのが
マンションの前の人物を見た途端に










吹き飛んだ。







固まる








やばい やばい やばい











漆黒の腰までの髪

モデルのような立ち姿


ブランドバッグ


その横に立つ






一人の男。







木佐先輩?
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