セカコイ 長編

□小さな恋物語A
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魔王との記憶は

はっきり言って思い出したくもない。




奴が律を律様と呼んでくるのは
人前でだけ。


二人きりになった時

奴は
律を
「りっちゃん」
と呼び
魔王と化す。




それをはじめて知ったのは
何歳ごろだったろう?


「りっちゃん お薬のめないの?」

ある日突然
美濃は律にそう言った
人懐っこい優しい笑みで。

風邪をひいていた律は
素直にこくりとうなづいた。

そう

外見のワリに丈夫でめったに風邪をひかないタイプだった律は
だからこそ薬が苦手だったのだ。

「うん…寝てればなおるよ」

周りに人がいたら美濃は

そうですか
ですが無理はいけないので
医者をよんで点滴を
と言っているだろう

しかし

美濃は笑ったあと
辺りを見回し…





「じゃあ 僕がのませてあげるね」




そう言って律の上にまたがったのだった。
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