セカコイ イメージ曲ss

□透明恋愛
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最近 小野寺の様子がおかしい。


なんだかぼぅっとしたり
暗い目をしたりするのだ

そして俺が話しかけようとすると
あいつにしては珍しくうまく言いくるめて逃げてしまう。

だからまあ


今日あたり一緒に出勤して追い詰めようかと思っていて。



隣の部屋の扉が開いたのを合図に
俺は部屋を出る。

しかし誰もいなかった。

気のせいだったんだろうか
扉はかたく閉ざされている。


「…小野寺?」


何も聞こえない


誰もいない



まあ 先に会社に行ってしまったんだろうが
俺は妙な感覚をもてあまし
何度も名前を呼んだ。


すると


馬鹿にしたような笑みが脳裏にうつる。


どうせわからないくせに


と言っているようで







朝で疲れているんだろうか。
俺は無性にあいつの姿を見たくなった。





小野寺は会社にも来ていなかった。
木佐たちの知らないよー?
という声に
俺は自分でも驚くくらいしょんぼりした声をだしていて
羽鳥ですらそれに驚いたくらいだった。


あの仕事熱心なあいつが
俺のことはさておき
原稿命なあいつが
無断で休むなんてな。
気がかりで俺は次の会議の資料をまとめる


すると営業のほうから誰かが来た。


横澤だ。


「どうした?」

すると手招きで喫煙ルームに来い
という

どうやらプライベートの話らしい

小野寺のことが気がかりなので嫌々いくと
横澤は

気をつけたほうがいい

と俺に言った


「なにがだ」

「小野寺のやつが仕事が出来るようになってきただろう。
それをねたんでだな
嫌がらせするやつらが出てきたんだ」

「…くそっだからか


気づかなかった…」


落ち込む俺に何時だって優しい横澤は笑う


「お前のせいじゃないさ
仕事で忙しい時期なんだ。でもま
気づいたからには


守ってやれよ」




そうして

そういや大学のころの癖だったな

横澤は俺の頭をポンポンとたたく。


「やめろよ さわんなって」

「そんな嫌がることないだろー昔っからお前は変にガキっぽいな

ま、じゃ話しも済んだし俺営業もどるわ」

「へいへい」




ああ やっぱり小野寺に会いたいなあ。


ほかに好きなやつでも出来たのか
喜ばしいことに横澤は誰かに電話していた。
それを笑って見送ると
何かがカランと音をたてる


(空き缶か…)


なんだろう

だれかがいるような

とても大切なような



「律」




つぶやいてみて、急に不安になった。









あいつ、今どこにいるんだ
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