セカコイ リクエスト小説

□執着系上司
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「あ、小野寺君。久しぶりだね」


「…えっと」







人当たりのよさそうな笑み

えっと 誰だっけ


そこまで考えて数々の本が思い浮かんだ。

そうだ
本くれた人!

長谷川さんだ。





はやめに会社が終わり午後を満喫しようとしていた矢先の遭遇だったので
同じく仕事の終わったらしい長谷川さんと俺は
一緒に会社を出た(これが高野さん相手だったら必死で抵抗する俺だが
長谷川さんてほら、別になんでもないし)



「さ、鬼編集長もいないことだし
前宣言したとおり



飲みにいかない?」


消えかかった意味を成してない電灯の上
カラスがクロワッサンを加えてのたうちまわっている。

無理してでかいの くわえるからだ。
ま、いいけど。


そういえば、飲みにいく約束をしてたっけか。


しばらく続いていた好きな本トークも中断し
いつのまにか飲みに行く話しになってた。




んーでもなあ。


汚部屋片付けたりしないと…。





廊下に積んだ洗濯物…




一週間分の洗い物…


冷蔵庫の奥に沈むもはや硬すぎる餅…。



あ、やば


帰りたくなくなってきた。





顔に出ていたのだろう。お勧めの店があるよ、と気づけば俺は長谷川さんに連れて行かれていた。





でもまあ、男同士の飲みなんてふつーなんでもないし。


しかもお勧めって言われると


気になるわけで。










店に入ってレジの前
律は子供みたいに驚いた。



「うわあ、すご」


まるでジャングルみたいだった。
作り物のツタが木の机や壁をつたい
永遠と伸びている。
そして天井には
赤いランプで照らされた紙がひらひらと揺らいでいる。
本当に、燃えてるみたいだ。


どこからか、水の音色がする





「ここのカクテルおいしーんだよ」


見惚れている俺が面白かったのか
長谷川さんは俺の頭を二回、ぽんぽんと軽くたたいて
席につき 行き着けのように速やかに注文をしていってくれた。






あー落ち着く!



今度高野さんともこれるかなあ







あ いやいやちょっとまて俺


なんで良い店知ったからって高野さんが出てくる。















『へえ、変わった外観の店ですね』



『すみません近場で知ってる店がここしかなくて

原稿なおしだけでこんな高そうな店に』


『いえいえ、だめだししたのはこっちですし
なおしてくださるのなら本当に
店はどこでも』








ん?


甘いパイナップルの香りを鼻腔に感じながら
律はいやな予感のままに入り口のほうをみやった。






って、ぐはあ! あの180以上の長身見間違えるはずないよ!






高野さんだ





どうしよ




すると長い手が、俺の頭を覆った。








「大丈夫。作家さんと一緒なんでしょ
さすがにこないでしょ高野のやつも」
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