セカコイ リクエスト小説

□不協和音の夢
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暖かい体温に手をのばして
抱きしめる。


部屋の隅


いつもそうだった。


そこでいくつもの感情を知った


俺と

嵯峨先輩は…。










「おい小野寺! 企画書の訂正しろ!

仕事いそがしくねーときに寝てんじゃねーよ」


怒声が聞こえ 俺は目を覚ました。
するとそこは自室ではなく仕事場で
みな仕事してるのに
自分だけが居眠りしている状態だった。



え、うそ


仕事にプライドをもってやっている自分が
ぐーすか寝てたなんて周期中ならともかく

ぜんぜん疲労してない

てか


珍しく8時間は寝たというのに…





「おい! 小野寺!」

「あっはい! すみません!」


俺はとりあえず仕事をしようと立ち上がったけれど
何をやっていたのかすっかり忘れてしまい

何度もあやまって高野さんから聞き出した。

いくら好きとはいえ
仕事は仕事

足を引っ張られるのはうざがれる。

俺は申し訳ない気持ちでいっぱいで
その日はずっと仕事をした。



(あああ どうしたんだよっ)










嵯峨先輩との夢だった

でも そんなのどうでもいい



なぜ寝てしまうんだ




まあ 緊張感が足りないからだろう



高野さんからの誘いは遊んでる場合じゃないのでと断り
俺は駅のトイレ
鏡の前 気合を入れた。


よし よし

帰ったら少女マンガ読み直して
作家さんに連絡して


それから


それから















紫蝶が飛んでいる。


あんな種類の蝶いましたっけ?


日向ぼっこしながら横にいる嵯峨先輩に問うと

嵯峨先輩は さあ?と笑った。


ああ どきどきする。


好きだな

好きだな


そう思ってると髪を触られた。



「ずっとこうしてような」


「え?」


明日は学校いったりしなきゃいけないから
日向ぼっこはつづけられないよ
そう思って見上げると嵯峨先輩は泣きそうな顔をしていた。






なにもいえない

いいよ 先輩が望むなら

ずっと俺こうしてるよ。










〜♪ 〜♪

なにか鳴っている



「嵯峨先輩?」


「律 気にすんなよ
デートでもしようか どこがいい?」

「えっとじゃあ図書館!」

「デートなのかよそれ」



〜♪


「あの先輩
やっぱなんか鳴ってますよ でますね」














『おい? 小野寺 休むなら会社に連絡しろよ

大丈夫なのか? この前から

かぜか?』




受話器のむこうから
そんな声が聞こえた。



俺は青ざめて飛び起きる
時計は12時をさしていた。


うそだろ







夜10時に寝て7時にアラーム10回はかけたのに




12時…? 昼の…?



俺は すみません寝坊ですと叫び
コートを羽織って外へ飛び出した。


泣きたかった。

つらかった。




どんだけぼけてんだよ


どこもわるくないのに!!



そうやって走る俺の頭上 紫蝶が飛んでいたのに











俺は気づかなかった。
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