セカコイ リクエスト小説
□編集長の好きな子
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いつのまにか片付けられた
清潔感ただようエメ編は特別人数が多くないといっても
個性豊かなせいで今日も今日とて賑わっていた。
しかしいつもと違うのは
口うるさい進行係がいないこと。
「寂しく感じるね〜さぼれていいけど」
そう言ったのは木佐だったが
高野はハッとした
そうか 先ほどから感じていたもやもやは
寂しさとか
そういうたぐいだったのかと。
木佐は律がいないのをいいことに律の席に装飾をはじめるが…。
「ふんふふ〜ん♪」
持ち主のいない椅子は滑稽なまでに
ただただその影を伸ばしていた。
「おい木佐はしゃぐな仕事ふやすぞ」
「うげええ」
「吐くな」
律との再会を信じられなかったころ
もちろん、エメ編での日々はあったわけで
それなりに楽しかった
居心地もいいし こうやって木佐を注意してるだけで十分おもしろい
それが律をおもうだけで
何もかも足りなく感じるなんて
律は不思議だ
心底 惚れてるってことなんだろうけど
「まあ、今は周期あけで仕事立て込んでないからな」
昨日
急に仕事を休ませてもらいますと言い出した律に
俺はそう さらりと返した。
さぼりか
だなんて問わない
律は仕事命の人間だ
だからこそ好きなのだ
さぼるはずがない(俺とちがって)
しかし理由は言っておかなければと思ったのだろう
律は続けて言う。
「小野寺出版の創立記念パーティがありまして…」