セカコイ リクエスト小説

□small love
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「りっちゃんは少女マンガを分かってないよ!」

高野と横澤が飲みに行ってしまったので
ふらふらしていたら

一人残業中に 雪名のばかああと
叫んでいた木佐と目が合ってしまい
小野寺律は
居酒屋に連れ込まれてしまった。


そして何分かたった今

番号札をチャラチャラと鳴らしながら
律は木佐の会話を右から左に流している。

男が少女まんが

ねえ。

律はまだ納得していない。

「仕事はがんばるつもりではいますが

だからといって編集の自分まで
乙女思考になるのは…」

そんなひき気味の律を
木佐は机をバン! と叩いて
怒った。

「乙女思考になんなきゃ 少女マンガの編集なんて無理だね!」

30 男の発言


と思えば痛々しいが

木佐は律よりも幼い顔をしているので
なんとも言えない。

しかも可愛い。

イライラしたままのみ続けたハイボールは
ほぼ水と化していて

しかも仕事のこともあり

酔ってしまいたい。
忘れてしまいたい。


律は思い切り手をあげ店員を呼んだ。

「すみませーん もういっぱい同じのー」

「そーだそーだ りっちゃん飲め飲め!
雪名なんか居なくても生きてけるもんねー」

「俺だってぇ 高野さんとかいらないですし
お断りですよーっ」









たぶん





飲みすぎたのがいけなかったんだ。







だから倒れた?

記憶がとんだ?

違う


そうじゃなくて


「うおー ちっさーい」

そう律を覗き込んでくる木佐の顔は
見上げるくらいに大きくて。

「りっちゃん これ手に乗るんじゃない?」


いや


なんでこうなった。

木佐が大きいのではなく
律が小さくなっていたのだ。


「人形さんみたーい」

「つ つつかないでくださいっ 木佐さんっ!」


こんな小さい体だから 出てくる声も
さも小さいだろうと思っていたら
声は普通に通った。

一体どういう現象なんだろう?


「でも ま ちょうどいいじゃん!

少女マンガを知る良い機会だよ!

ってことで高野さん呼ぶねー
りっちゃん一人じゃ帰れないでしょー」

小さいのにガンガンと痛む頭

律と反比例に木佐はどんどん楽しそうだった。


いま高野が来たら…

というか横澤も一緒に来たら…?


〜小野寺律の妄想タイム〜



「小野寺!? お前どうしたんだよ
その小ささ!

木佐に何かされたのか!?」

「俺が何をどうしたら りっちゃんを小さくできるのさ」

「はっ。 どうせ演劇だろ。
つまらねえことしてんじゃねえよ
七光りのくせに

おい高野

お前の好きなヤツはこんなに小さくなったんだし

もう手出せないぜ

おとなしく俺のとこ戻って来い」

「… それもそうだな!」

〜妄想おわり〜




「いやだ! そんな結末認めない!」

しかし叫ぶも時遅く

居酒屋のドアが
鈴の音と共に開いた。


そこに居たのは 高野一人。

それを見て黙り込む律と

「りっちゃんが危険な目にあってる
って高野さんには報告したんだ

高野さん りっちゃん一筋だもん
横澤さんつれてくる訳ないじゃん」


そう笑う木佐…。

うれしい… けど


うん

てか

「俺と高野さんはただの上司と部下でっ!!」


「もう新婚旅行事件以来バレバレだもん
あきらめなよ りっちゃん」

「本当になんでもなっ」

「…律…?」

律がムキになって叫ぶと同時
大きな手が伸びてきて
律はあっさりつかまってしまった。

高く高く持ち上げられ
さすがに怖くなり律は涙目になってしまう。

「おろしてくださいいい! 高野さん!」

「だーめ

…帰るぞ」


優しい声。

たぶん胸ポケットだろう

入れられた律は落ちないように
高野のシャツを全力で握った。


「じゃあ帰るが


ここの会計はお前がやれよ 木佐」


「えええええ!!? せっかくおいしいシチュエーション教えてあげたのにいい!?」

「俺のもん勝手につれて飲みに行った時点で減点対象だ バカ」


二人が何か喋っているが
そんなんどうでもいい


この高さメッチャ怖い!

けれど落ち着いてきた頃に
胸ポケットから見た高野の顔は
いつもより近くて

「(やっぱまつげ長い
肌つるつる)」

律は頬を ぶわわと顔を赤くしながら
ポケットの中に縮こまった。
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