セカコイ 短編

□ラブラブ暗黒時代!
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(過去)

図書室


「おい だから本
適当なところに戻すなって何度言えばさー」

「細かいんだよ いちいち
たっくんはー。結婚したら片付け担当にまわすよ?」

「はあ? おれは仕事するんだから
お前は家事だろ!」

「なによぉ そういう押し付けっていけないんだよ!」

喧嘩しながらも
結婚するのが確定みたいに話し合うカップル

いいな。

ああいうのが信頼関係っていうんだ。

対し俺と先輩ってどうなんだろう?

喧嘩…

したら終わりな気が…

恐れ多くて…


ああ


でも




『喧嘩できるような
自然なカップルになりたいなあ』



(未来)



「ちょっとぉ! 高野さん
おれまだ仕事終わってないんですよ!」

「なんだよ
遅いな みせてみろ

そうだな

ここはこうだな…」

「っ…はい わかりました」

仕事だけは素直に言うこと聞いてやるけど

普段は

「じゃ いまからデートでも」


「お先に失礼します!」

絶対思い通りになんてなってやらない!!

そんなことを思い


走って帰って
外にでた後気づいたのは
片付けを高野にまかせっぱなしで逃げてしまったこと

申し訳なくなり戻ると



見回りの子だろう。


女の人と仲良く片付けていた。



(ああ…素直にデートとかでも
しておけば
この光景をみることにならずにすんだんだろうに)




おれはため息をついて
一人帰る


『素直に甘えられるような
ベタベタのカップルになりたいなあ』







『じゃあ叶えてあげるよ!!』




気づけば真白い空間に居た。

学ランの律と
スーツ姿の律
身長も幼さも違い
十年前と十年後だということは
見てわかった。


そしてその上に居るのは





「うわっでっかいうさぎ!」

「ティ、てぃんくる…」

丸川のイメージキャラクター
ティンクルだった。


やばい修羅場でもないのに
頭が修羅場ってしまったのか?

「夢だ夢だ夢」

ぶつぶつと呟く律の横

「てぃんくる? てぃんくるって名前なんですか?」

そうクリクリした目で聞いてくる
過去の自分がむかつき
律は無言で幼い律の靴をふんだ



「〜〜〜〜っっ」

涙目になる律をよそにティンクルはしゃべりはじめる

ステッキを異様にふりまわす
その姿は
もはや化け物だった。

「二人を入れ替えてあげるよ!」


「はあ?」

と呟く大人の律と

「えー!?」

と驚く学生の律

並べてみるとよく分かる
ひねくれ成長である。


「じゃあっいっくよー!

ティンクルティンクルクルクル
クルシメ!」

なんとも不吉な掛け声に
光につつまれる二人


「「うわああ」」


初めてハモった二人
消えていくせかい





遠のく意識の中
大人の律は

「(そういえば今日邪魔だったから
ティンクルの人形床におとしたな…)」



大事にしないといやなことが
けっこーある。

まさか

これか…!

「高野さんっ…たすけて…」

わが社のマスコットキャラの変更の必要性を考えながら


大人の律は

図書室で


目をさました。
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