セカコイ 短編

□二人の距離
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家に帰っても何も面白いことなんてない。
だから俺は、こうやって図書室で時間をつぶす。

前は好きな本が読めて暇つぶしになったから。
今は

「なんだ 先に来てたのか」

「あっあ! えっと先輩
今日はやく授業が終わったんで…」

コイツに

織田律に会えるから。

放課後。

外から差し込む夕日が律の茶髪を照らしていて
なんとも柔らかい色を放っている。
俺は触りたくなる欲求を抑えて
律の隣に座った。


なんてったって図書室の机ってこんなにでかいかな。

もっとそばに寄りたいのに

椅子ガタガタ近づけたら不自然だもんな。
だから、近寄ることもできない。

律がチラチラこっちをみてくるのを感じながら
面白い話のできない俺は
適当に本を開いた。
いかにも興味ないですよ
みたいなフリをして。

なんで俺はこうなんだろう。
でも急にべたべたしたら
気持ち悪がられるんじゃないかって…。

大体、律の方から
もっとべたべたくっついてきてくれたら
何の問題もないのに。
好きならそうしてほしいのに。

もう うざい なんていわないから。

だから…。
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