過去拍手文2

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注意:オリキャラ登場




皆にとっては 憂鬱な時間。


俺は一人ほくそ笑んでいた。


テスト返却。

テスト返却は教卓の前で行われる。
一人一人立って受け取りに行かなくてはならないのだ。
返し方が下手だとその人が何点かは、バレてしまう。
とくに数学教師のかぼちゃ鼻でおしあげられたメガネが特徴の男は
そりゃあもうわざと点をクラスにバラすのであった。


だからこそ言おう。

俺は数学の授業が大好きだ。


だって 低い点など取らないから。

高得点が ちらっと見えたときの
クラスのざわめき。









俺はいっつもそれだけが楽しみだった。







「えー今回は90点越え二人です」



乾いた唇でそう言う数学教師。


ちっ なんだ二人か

面白くない。





一人で抜群 ってのが注目の的なのに。

俺は後で嫌がらせでもしてやろうと
90点越えなやつを探した。
テストが返された時の反応で見えなくたって分かるだろう。
今回の平均点は40。
皆が皆うなだれて 俺何点だったよーと報告しあう。


さあ 喜んでるやつを探せ





でも 一人も居なかった。

今日はやすみなのか?






先生に あくまでこっそり聞く


「あの、もう一人の90点越えって何点だったんですか」


「ああ、98点だよ 個人名はいえないけど」



「そうですか」








俺の点は94点。






なんだか








むしょーにむかついた。















*********





「うー なんでここがこうなるんだー」





「……」


「先輩がくるまでに終わらせないと」


「……」


「この公式、人の顔みたいだな。写メ」

「代入する場所間違ってる」


「!!!??」





図書室。 律が思い切り振り返ると
バッグを持ったままの嵯峨がこちらを見ていた。

は はずかしい

あわてて携帯を隠す。



「お前独り言多いな いつもそうなの」



「いいいいいいいえ、いえそうかもしれませんしそうじゃないかもしれませんし」


「…」

はあ、とため息をついて嵯峨が隣に座った。


ギシッとパイプイスが音をたてる。
片方のひざをつく座り方が癖なんだろうか。
いちいち格好良くて。
律は数学の教科書を隠してうなだれた。




「なに 教えてやるって」


「……でも 俺飲み込み遅いし
バカってのがバレて嫌われちゃうかもしれませんし」


「…」






嵯峨が、黙り込む。

なにを考えているのか分からない沈黙が怖かった。



え えーと

とりあえず!!


「でもこういってても仕方ないですね!
すかれる為に数学まじめにやります!
どんなに遠回りでも努力が一番ですもん…」




最後まで言えなかった。

唇にふさがれた言葉が それ以上漏れることはなく。




「ぷは、せ、せんぱい
なんで 急に」


「知ってるよ」

「え?」














「お前が努力してるの 知ってる。

いっつも俺が教えたとこ真剣にメモってるから

そんな姿見せられたら

効率が悪いとか頭悪いとか

そんなもんどうでもよくなる。

てか、逆にそういうのにこだわって
努力しないやつ俺嫌いだから」





顔が 真っ赤に火照るのを感じた。


クラスメートに 律はまじめなんだよ
ずる賢くなれよ
とか言われて

先生からも いい子なんだけどねえ
努力だけじゃねえ といわれて






なのに なんで







(先輩は俺のほしい言葉を

寡黙で 多くを語らないのに

伝えてくれるの)






もう一度 唇が重なった。 互いに埋もれて
やさしく片手で
口開けて という合図をされると

学校だなんてことが消えてしまう。





ずっとこうしてたいな




先輩





先輩







「律」










((好き))


















キーンコーンカーンコーン


「「あ」」






「休み時間終わっちゃいましたね」


「放課後 一緒に帰ろ。
もしホームルーム長引いて遅れたら先帰っててもいーけど」



「い、いえ!! 三日間でも待ってます!」

「俺の教室どんだけホームルーム長いんだよ…」








くしゃり、と繊細に美しい指が律の頭をなでる


遠ざかる嵯峨の背。







律はただ ぼぅっと見送っていた。











*******









「えー古典のテスト


今回100点出ました!





嵯峨君でーす!」







「まじ!? うわすっげぇ」


「頭いい!!」

「嵯峨君素敵ー!!」










ああ。テスト返却か。



せっかくの心地いい眠気が吹き飛び

同時に嫌悪感が湧き上がってきた。






普通に勉強してたら 取れるだろこんくらい。


俺は才能のない+努力しない奴が一番嫌いだ。
ただ騒ぐだけ。


なんでこう 律みたいな奴が居ないのかね

居るわけないか。







あんな誰にも穢されてない守りたくなる奴
クラスだけじゃない
世界探しても居ないよな。






あいつにだけは 努力はぜったいに報われるものだと信じていてほしい。


愛とか永遠があると思っていてほしい

あいつが信じてさえくれれば俺も信じられるから


全部包み込んで守るから





あいつには前だけ 見ててほしいから。



「あの 嵯峨くん?」






担任が うれしくないのだろうか
という顔でテストを返してくる。




俺は無表情で受け取ってすぐにカバンにしまった。



てか、破いて学校に捨てていこう。


















あの家に持ち帰ったところでむなしいだけなのだから。





そんな風に思っていた嵯峨は






自分を見る とある目 に気づいていなかった。

















***










むかつく!


むかつく!

むかつく。



今回の古典には自信があった。俺が注目をあびるはずだった。


だけどなんだ?




嵯峨




とくにむかついたのが嵯峨の反応だった。






あいつは捨てたのだ!





100点のテストをやぶいて

学校に!





まるでテストごときではしゃぐやつらが全部くだらないといわれているようで



俺はずたずたに自尊心を切り開かされていた。






あいつは大人気取りか?

顔がいいだけで
騒ぐ女子どもにも、もう耐えられない。















放課後。







俺は嵯峨の下駄箱に手を伸ばした。






片方の靴がなくて 帰れなくなるアイツ。


ああ みじめだろうな






笑える。






クラスメートをバカにした天罰だ。






「ああああああの!!」







無駄にかっこつけてやがる革靴を

つかんだ直後だった。








「?!!」





やばい 人に見られた。
しかしそこにいたのは教師でなく


下級生?





真ん中訳の薄い茶髪。
エメラルドグリーンの瞳を潤ませ
育ちのよい香りを漂わせている。


「な なんだよ」


思わずどもる俺に対し

そいつはなんと突進してきた。






「だめです! 嵯峨先輩こまっちゃうじゃないですか
ぜったい、だめ だめっ」


「るっせぇ 離せ」


「あ」









嵯峨の靴を振り回し


小さいそいつの肩に思い切りぶち当てた。


すると傾く体



転ぶか?

ざまあみろ


上級生に逆らうからだ。














しかし そいつが転ぶのを見送るのは不可能だった。









俺の視界が真っ暗になる。












ゴシャッ









「いってええええええ!!」





思わずさけびしりもちをつく俺。






なにがあった?







殴られた。 だれに









すると 下級生の体を受け止め
あらわれたのは









嵯峨 だった。




片手にバッグを持ち

いつもの冷静で洞穴のような目からは考え付かない


怒りに燃えている。

その目で俺を見下ろす。



「とっとと職員室駆け込めよ
俺に殴られたっていってな。


このクソ餓鬼。

もう一度母胎に戻ってやりなおせ

テスト90点すごいすごい

だからなんだ、くっっだらねえ人生してんなお前。







で 律。






俺が嫌がらせあいそうになってても
出ていくな。



靴なんかなくなったってどうでもいい







怪我  なくてよかった」









信じられない


なにが起こってるんだ。

顔が真っ赤な『律』と





無表情で でも震えながら抱き締める嵯峨が












俺には『別世界』だった。













てか、とりあえず痛い。痛い。
顔が腫れてきたように感じて
俺は恐怖のまま逃げ帰る。






はやく治療しないと。


怪我が残ったら大変だ。












あの嵯峨の「目」




俺はきっと忘れられない






帰ってふるえる羽目になるのは




結構すぐの話だった。












******







「何であの人あんなことしたんでしょうねえ」

「さあ、どうでもいいだろ

それより律 体 大丈夫?」



「ふえっ!!?」




「なんだよ 顔赤くして」



「いいいいいえ、す、すみません…

その先輩に体調心配されるのって




せ、先輩と し、シた後が多いので

はずかしくって!」





「………煽るの、うまいよな お前」


「??」



「ちょっと抱きついていい?」


「せ、先輩の家までもうすぐじゃないですかっ」



「心配かけさせた罰ってことで」


「せ、せんぱーい!」









テストとか

行事とか


教師とか

クラスメートとか くだらない






『義務』教育だから通ってるだけ。




でも


その中でお前に会えたから






俺は感謝してるよ。







全部全部 すべての感情が お前のおかげで目覚め始めてるんだ。



怒るのも


笑いかけるのも



照れるのも






「 先輩  好きです 」










お前だけだよ    律。











end






オリキャラ出しといてうぜえw
実際に居そうな感じ目指しました。
長くなってごめんごりら。

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