過去拍手文2

□拍手文49
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小野寺出版

今日も背後にねたみの声を聞きながら
律は青筋を浮かべて企画をまとめていた。


(くそ、どいつもこいつも)


むかつく
しかし何よりもむかつくのは
いちいちイラついている自分 なのだが。


立ち上がった同時
いすがくるくると回った。


周りの人間が 入れ違えたテッシュのようにばらばらと散っていく。



プライドの高い律は 言い返すでもなく
悲しむでもなく
毅然と お疲れ様でした

と会社を後にした。







こういう日は





家で飲むに限る。







まったく 同僚がすべて佐伯のようだったらやりやすいのに





手をあげて タクシーを止めた。
なかなかこない日もあるが
今日は空気を読んでるじゃないか。








乗り込み、 行き先を告げる


タクシーはまもなく動き

律は軽く目を閉じ 背もたれにもたれた。




ああ





なんだろう

ちょっとだけ っておもったけど


疲れてたらしい






沈んでいく…



パシャッ


ん? なんだこのシャッター音





ジー…


ああ、撮ってすぐに印刷したやつがでてくるやつね。


パシャッ


「!?」




ジー…。




気づけば運転手のやつがこちらを撮っていた。


「ちょっとぉ!? あ、ついたんですか?
すみません 寝ちゃってて」


「安心しろ


そもそも向かってすらいない」


「!!?」


青ざめ、何を考えてるんだかわからんそいつを見ると
めがねでとにかく黒くて
不健康そうな男だった。
タクシーの運転手の説明画面には
ただ高野政宗 と記されている。


「向かってくださいよ!
寝てる間に右往左往してお金取る気だったんだな!」


「お金なんていらない」

「え!? じゃあなんでタクシー運転手に」



そもそももっと老けた人がやるイメージあるんだけど

若くてタクシー運転手って
なにかやくざ関連って聞いたことあるし。

すると高野はよくぞ聞いてくれたと
しゃべり始めた。

「名前が 小野寺律
で 茶髪で 目がグリーンで
肌がすべすべしてて
乳首がピンク色で 25さいで 前髪がちょい長くて 細身で プライドが高く
声が近藤 そんな男を追い求め

おれはタクシー運転手になった」


「それどんだけ可能性低いと思ってんですか
バカですk…てかお前見たのか!?
乳首…って、え!? ぜんぜん気づかなかった!」


「そうだ 低い可能性の中めぐり合った
これはもう運命の赤黒い意図だと思わないか」



高野はなんか言っている。


変人オーラを感じたので 仕方ない
おりてしまおうと
窓から顔をだすと


そこは見知らぬマンションの前だった。

やたらと野良猫が多く

街灯が暗い。


どうしよう

帰れるかな。




「さあ おりるぞ律」


ガチャっと開く音がした。




おい。 財布から身分証明かってに見た分際で下の名前で呼ぶな



「帰してください!! 警察言いますよ!」


「安心しろ
おれの友達に横澤ってのがいるんだけど
そいつが警察だ
おれのこと守ってくれるって。
さっき相談したら

小野寺てやつまじ乙。

っていってたぞ」


「はああ!?」


「さーおいでー」


「えっ、ちょっ」


タクシーから長い手で引き摺り下ろされた律は高野にそのまま抱えられ
マンションに連れて行かれた。




やばいやばい!!



さけぼう!






「だ、だれかあああ!! 助けて!」


「あ おい やめておいたほうがいいぞ
ここの管理人…」


「だれかあああああああ!!!」







「ねえ うるさいよ君
近所迷惑とか考えようね 今何時だと思ってるの?」




律がさけんでいると…。


マンションの管理人だろう、が出てきた。

胸元に 美濃 って書いてある。


てか あれ






なんでおれが悪い感じになってるの?





「それ以上騒いだら









僕が殺すからね



じゃ いい夜を」











パタン







「あーあ だから管理人怒らすなって言ったのに

あいつ一度怒ると
住人の部屋ランダムで燃やすからな」

「…」




「さあそれはさておき一緒に暮らそうか


タクシー料金とお前への愛は








エクスプレス!」




「えっ、ちょ ちょっとま…」





その夜はひどく濃厚だったとさ


owari




赤黒い 糸ではなく意図なのは
なんとなくです。

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