過去拍手文2

□拍手文47
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律は、悩ましげに妙に色っぽく
ため息をつきながら月夜の影にネジを掲げていた。



これはかつて、政宗と呼ばれていた
恋人のネジ…。
会いたい…。
壊したの同じ政宗だけど
それは置いといて…会いたい…。


一緒に寝てるだけでは飽き足らず
律は寝ている高野に自分の代わりに抱き枕を抱かせると(初音ミクの抱き枕)夜な夜な抜け出して
修理屋に持って行った。



なおるかなあ。政宗さん。




てか、ほかのパーツ無いからある意味なおせたらすごいけどね。







すると営業時間外だというのに
優しく対応してくれたのは美濃というおじさんだった。
ちなみにおじさんと言うと睨まれるので
美濃さん と表記します。

「すみませんネジ一本しかないんですけど…」


「ネジ一本あれば十分だよ」

「まじですか!?」




美濃さんは奥に引っ込み
それからまもなく修理の音(てか一から作る音が聞こえた)


ああ もうすぐ会えるんだ…。
政宗さんに
わくわくするなあ。
わくわくさんだよまったく。



律がそう思い前後に揺れていると
日が明けると同時機械音がした。







「あっ! 政宗さん!」









って あれ




なんか銀色の肌はいつも通りなんだけど


学校のセーター着てる…。
これではまるで






『まるで生まれ変わった気分だ
久々だな、律』


「さ、嵯峨先輩!?」


『ああ。迷うごと無き嵯峨先輩だよ』


「自分で自分を先輩って…嵯峨先輩っ…」



ひしっと抱きしめ合う。
すると嵯峨先輩はほほえんでいるように思えた









ああ まさか




ただ復活するだけではなく
嵯峨先輩になって戻ってくるなんて

俺得!!



後ろで美濃さんが請求書をちらつかせてるのは現実逃避から目をそらし
律はいつまでも嵯峨と抱きしめ合っていた―…











「金払えや」

「すみません カッターで的確に心臓狙うのやめてください。
俺の使用人にツケで」


「了解」


「じゃあ帰りましょ、嵯峨先輩」


『クスッ そんな慌てるなよ』



「でも、今日昼から仕事ですし
一緒に居る時間へっちゃいます…」


『いつでも家で待ってるから慌てなくていいんだよ ほら俺の胸においで』


「嵯峨先輩っ…ああ…硬いっ」








そんなバカなことをやっていると
突如この世のものとは思えない『気』を感じた



一体…どこから…











すると片手に初音ミクを抱えている痛々しい
出来れば知り合いと思われたくない
高野さんがマンションの前立っていた。




「よぉ…小野寺…もうキレていいよな俺……。



お前抱いてたと思ったらとんだ思い違いで
俺が朝からどんだけ落ち込んだか…お前に分かるか」



「すみませんルカ派でしたか。この巨乳好きめ」


「そういう問題じゃねえ! てか性懲りもなくロボットをお前っ」




キレてしまった高野さんは律を素通りして
ロボットを殴ろうと手にかけた
しかしロボットは赤色のランプのともる目で睨む。


『ロボットじゃない  俺は





嵯峨だ』






「…………いや、似てねえよ!!」


ナイスツッコミ

確かにこのロボット嵯峨先輩要素はセーターしかない。
あと声。






『似てる似てないは俺が決める』


「くそっ おい律…。





お前 本当におれのこと嫌いになったのか
前からロボットロボットって



おれのこと全然かまってくれねえじゃねえか…」


すると今までふざけていたノリを裏返し
高野が真剣に律を見てきた。
この視線
律は 何度見ても慣れない。


ああ やっぱり

どんなに精巧でも本物にはかなわないんだなあ。


「高野さん…



確かに、おれも 高野さんがおれに似たロボット作ってそっちにつきっきりだったら

寂しいです…」






「ああ やっと分かってくれたか
てかこのロボットおれに似てないけど」




いつのまにか
二人だけの空間に

すると嵯峨は機械音を鳴らして後ろを向いた。
どっちが後ろなのかはいまいち不明な銀色だが。

『…ふん、しゃあない


目の前でそんな本物の愛見せつけられたら




おれは引き下がるしかないな』



「あ、引き下がらないで家事手伝ってください!」


『まじか おれまだ お前と居てもいいのか…』


「いいですよ! 三人で仲良くしましょ
ね!」




『ありがとう…涙が出てきた…」




「オイルじゃないですかね それ」









「てか小野寺てめぇこのやろう
やっぱ全部捨ててやる」










こうして嵯峨と高野と小野寺の三人暮らしがはじまったとさ。

ちなみにツケが回ってきた使用人は泣きながら払ったという。

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