過去拍手文2

□拍手文45
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政宗さん…。


全自動家事ロボットが捨てられてから一週間。
律は材料を並べておいたら料理になっている機械を作ってもらっていたが
いかんせんトマトを置いてるのに佃煮が出てきたりランダムである。
やっぱり政宗さんがよかったな…。

『おいちったあ部屋片付けろ!』

しかもこの機械よくしゃべるし
声なんだか横澤さんだし…。


「うるさいですよ! 機械のくせに!」

『んだと!? てめぇ俺に逆らうのか!』

「ええ! 逆らいますよ ばーかばーか!!!」

『くそ、お前がバカだ!お前がバカだ!』


でも、最近こうやって喧嘩してるから寂しさが埋まってるんだ。

横澤さんって呼んでもいいかな…
横澤っちとか、よこっちとか、ざわっちとか
よっこーとか横衛門でもいいな…。


最終的には仲良くなれたりして…。



そんな風に思っていると家電が鳴った。

だれからだろう?

母だったらコンマ一秒で切らないと面倒くさいことになるな


律は息をすって受話器をはずした




「もしもし」


『…』

「? あの」





『律か、俺だ 政宗だ




お前どうせ部屋汚れてんだろ
ごみ焼却炉から逃げてきたんだ…あつかった…
今から帰るからな
さびしい思いさせてごめん

ほかにロボ連れ込んでないだろうな』



律は感動で涙をこぼしていた。
ひさびさのこの低音
そして若干な機械音…。


あつかったですよね…。






あ、でもどうしよう

いま俺の家には横澤さんが…。



「政宗…なのか?」

後ろで食器を洗いながら横澤さんがつぶやいた。

あれ どうやら横澤さんと政宗さんは知り合いみたいだ…。
まるでリアルみたいだな

けれど政宗さんは





『しらん 横澤とかしらん

律 服脱いでまってろよ』


と言うばかり。




なぜ服をぬぐ必要があるんだろう。
けれど律は言われたとおり服を脱いで(上だけ)
部屋を散らかした。

政宗さんは喜んで片付けてくれるからだ。
たまに下着数枚なくなってるけど
説明書からするに設定した性格上仕方ないと書いてあったのであきらめよう。

はやくかえってこないかな


政宗さん。





律は(自動掃除機)ルンバの上、正座で待っていた。(壊れるのでやめてください)






ピンポーン



部屋のチャイムが鳴る。


ああ、一週間ぶりの再会、胸をときめかせて律はルンバという屍をこえて
玄関にまでたどり着いた












ガチャっ







「政宗さっ…」





「ん。律 俺だ おいで」




「って、高野さあああああん!!?」



なんということでしょう
チャイムを鳴らしたのは隣人でした。

そして隣人は何かネジみたいなのを持っています。









「政宗とやらの形見だ」


「うわああああん! なんてことするんですかあああ!」



「うっせ! てか機械に頼るな!
俺この前からめちゃくちゃ不快なんだよ!
横澤に相談したら

お前…人相手に嫉妬しろよとかいわれるし

そのとおりだよ!
なんで俺ロボットに嫉妬してんだよ!」


「今日一緒に寝てあげるからね
政宗さん」


「話を聞けええええ!!」











今日も今日とて夜は更けていきましたとさ






(くそ、ネジ真ん中においてもいいから
俺も横で寝させてくれ)


(わかりました ネジじゃないです
政宗さんです)




end

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