過去拍手文2

□拍手文44
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ん? あれ…


なんだろう あたたかい。



俺は誰かになでられてるのを感じて、うっすらと目をあけた。
もしかして世話係の人かな
いやだなあ いつまで俺を子供扱いするんだろう。





しかし


目を開けた先にいたのは



「お、悪い 起こしたか」








嵯峨先輩でした。





「〜〜〜〜〜〜っっ!」

思わず飛びのくと
嵯峨先輩はムッとした様子で
なんだよ そんな威嚇すんなよ とぼやいた。


威嚇…?


それって人に使う言葉だったか

ていうか本当に記憶にない
いつ、俺は最愛の先輩の家に訪ねていたと言うのだ。


「ソラ太 にげんなっておいで」



え?

ソラ太…?



その名前を聞いて ふと思い出す。

先輩が拾った猫


あの、雨の中…


それから先輩の家に行く度に見るけど
なついてもらえなくって…




ソラ太



って、俺がソラ太ああああ!??



嵯峨先輩は俺が驚愕の事実に陥っているのにも気づかず
なんど俺の腹をつかんで持ち上げてしまった。



…ベッドの方に。





「〜〜〜〜っにゃー」


「鳴くなよ 寝よ な」

ぽんぽん、とたたかれるけど

はっきりいって耳元で おいでとか 寝よ
とか

さっきから心臓に悪い!!
悪すぎる!



「お前鼻ピンクだなーおもしれー」


嵯峨先輩はなんとなくソラ太に話かけるのが癖らしい。
それから俺(ってかソラ太)の外見についてとか
嫌いな先生とかの話をしだして
猫に話しかける先輩がかわいいと思った反面





(家に、話を聞いてくれる人がいないんだな)

とも思った。








同情?

いや


愛情。



俺は先輩が大好きだ。だから…。

いつかソラ太ぐらいに相談される男にならなきゃ!(ソラ太ってオスかな)



「予備校の教師とかでただのバイトのやつ
教え方下手でさー」




風呂あがりなのだろうか。
漆黒の髪がしめったままで横になっている先輩は話しながら眠くなっていっているようだった。

ああ、ちゃんと乾かさないと。
そう思って髪に触れると
鼻にキスされて いたたまれなくなった。







「みー…」



うれしいけど、そのキスは
俺に
してほしくって。


先輩 先輩



「どうした 悲しそうな声だすなよな

ごめんな あいつが来てるとき部屋から追い出してるけど
お前が嫌いになったわけじゃないんだよ

ただ

お前がいるとあいつと密着できないわけで…」



え、その あいつって誰ですか。

俺が目をまん丸にしていると

嵯峨先輩はつづけた



「あいつとの時間
大切なんだ…。すぐ過ぎちゃって…
だからすこしでも近くに…居たくて…



律…どうやって…伝えたらいいか…よく
わからな、んだけど…





律…好き

大好き」







眠さで限界だったのだろう。
先輩は電気もつけっぱでだんだんと声を遠のかせながらまぶたをおろしてしまった。









というか。

俺は心拍数がやばい。

猫の体死んじゃうんじゃないかって







先輩 先輩 俺もです
俺もあなたと過ごす時間が…

ああどうすれば伝わりますか




この大好き がー…。








次の日。自宅のベッドで目をさました俺は
先輩の登校時間をみはからい家を飛び出した。






さあ、前方をすこし背筋を丸めて歩く貴方へ


今日もありったけの愛をこめて近づいていく













「せんぱーい!!」

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