捧げ物!

□忍ぶれど
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臭気はどこへやら。
男のくせに香水を振りまいたような香りに
ファンシーな絵柄

此処はエメ編。


ああやっと終わった。

「んー」



背筋をのばすとあからさまに骨がボキボキとなり、前でまだ仕事をしている羽鳥に申し訳なくなり律は軽く頭を下げた

「すみません お先に失礼しますね」

修羅場も抜け、落ち着いてきた。
羽鳥は ああ 気にするなと
ほほえみかけ、しかし目線の先は原稿一筋であった。

仕事ができる男はいい

それは羽鳥しかり
がんばっている木佐しかり


しかし一番






効率よく結果もだしているのが




「…小野寺
俺これから会議だから下で待ってて」






この腹黒鬼畜系上司なのであって。

律はため息をつく


「お先に失礼します」

すると高野も仕事外で縛り付けてる力はないらしい
あからさま拗ねた顔で
あっそといい書類をまとめて行った。

だいたい、恥ずかしいのだあの人は

仕事場にもかかわらずプライベートを持ち出したり
誰かが見ているにもかかわらず接近してきたり


互いに大人だ
だから、私情は挟まないべきなのに

律は振り回されてしまっている


いらつく。



そしてそれよりもさらに、いらつくのが








実際に高野が仕事は仕事 私情は私情と分けてしまったらそれはそれは悲しいだろうというのが自分でわかってしまっていることだ。

たとえば高野に正論だとしても
会社で近づくなと言われたら
律は落ち込んでどうにかなってしまいそうなのだ。








自分はどうしてこんなに弱くなってしまったのだろう

雨がコンクリートに染みいっていくのを見ながら
結局会社の前待ってしまっている自分に
律は頭を振り 嘆いた






うまくいかない。

ああ

これではまるで―…。
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