素敵な貰い物♪

□愛しい人のために
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作家との打ち合わせの帰り。

俺は職場に帰るところだった。
かなり時間かかると思っていたエメ編の看板作家エリカ様との打ち合わせは予想以上に早く終わった。


「コーヒーでも飲んでいくかな」

本当なら小野寺とお茶でもしたい気分なんだが…
そんなこと言っても本人は今会社にいるだろう。


そんなことを思いながら角を曲がろうとした瞬間、誰かとぶつかってしまい、
漫画かというくらい大袈裟にぶつかった衝撃でカバンを手放してしまって中身が飛び出る。



「いや!これはすまないね。大丈夫かい?」



ぶつかった衝撃のわりにはお互いなにもなく、その相手は俺のカバンと中身をさっさと拾うのを手伝ってくれた。

自分の名刺入れから名刺まで出て散らばってしまっていた。


「すみません。こちらの不注意で…」


俺ま自分のもの拾いながら、相手のことを観察する。

中年の男性で、物腰は凄く柔らかそうな優しそうな人だ。
スーツを着て、どこかの社長さんだろうか…なんと言うか気品が溢れている。


「君は…エメラルド編集部なのかい?」


その男性は俺の散らばった名刺を拾い上げて、俺の顔を見て言った。

「え?あ、はいそうですが…」

「いやー、そうだったのか!
初めまして。
私は小野寺律の父です。
いつも息子がお世話になっています。」


「小野寺の…初めまして。
俺はエメラルド編集部編集長の高野政宗です。」


小野寺の親父さんは優しい笑顔を向けて俺と握手をしてくれた。


しかし、言われてみれば雰囲気が似てる。
あいつも優しい印象があるし、どこか気品が溢れている。


「今丁度取引先との会議が終わって、いつもは車を頼んでるんだが久々に歩こうと思ってね。
歩いてたら君と会えるとは。
一度でいいから君と話がしてみたかったんだよ。
敏腕編集長として君は家の会社でも有名だし、それに、仕事場での律の様子も聞きたくてね。
そうだ、今時間あるかい?
よかったらコーヒーでもどうかな?」

そう律の父は、俺をお茶に誘った。

なんというか社長ってお堅くて、偉そうなイメージがあったけど、この人は違う。


人を尊敬して、ちゃんと見て接しているのだ。



この人に…律は育てられたんだな。





俺はそんなこと思いながら、律の親父さんについて、近くのカフェに入ったのであった。
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