セカコイにょた!

□恋の傷心
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注意:性同一障害の詳しい知識がないまま
それを取り扱ったssとなります。
気分を害される場合があります注意してください。

























傷心だった。


私の初恋は。


今でも目を閉じれば、まぶたの裏、桜の花弁が頬をなでる。

振り返った貴方が、笑う。 笑う。




でも どんな目元をしていたのかも
それ以外の記憶も


とくにない。
ただ事実として忽然とあるのは
終わってしまったということ。
あっちにその気がなく 遊ばれたにすぎなかったということ
それだけで十分だろう。もしかしたら
とか
勘違いなのでは という期間はすぎ
私は今別の恋をしている。



大丈夫

もう

大丈夫




私は幸せなんだ。


「ねえ 終わりにしようよ」


だけどひとつのソファー
隣にうずくまる その

別の恋の相手の

恋人が言った。
背筋が凍る。 自分、なにかしでかしたんだろうか。
いや、何もしていない
だって今さっきまで良い感じだったじゃないか。
じゃれついて、無理やりキスしようとしたのも、昨日の話だったはず。


「こんなの、おかしいからさ」


恋人が肩をふるわす。

「なにが」

おかしいって?
互いに好きってことを確認して
付き合ったのになんで。

「だって……」


恋人は長い睫を震わせて言った
それを見て自分は、とてつもない焦燥感に襲われて
気づけば立ち上がり叫んでいた。


「だってじゃ分からないだろ!





俺の何がいけないんだよ!」





恋人の肩を、ゆらす。
すると胸もゆれて、 俺は恥ずかしくなり、正気を取り戻す。






離れて、一呼吸をついた。

すっ と立ち上がる 恋人 ゆれる、長い髪。



「強いて言うなら  性別だよ」





ああ なんなんだろう
この世界は
混沌としている性


俺は俺だよ





それじゃだめなの







「私、 将来のことも考えたら、やっぱり男のひとがいいの ごめんね





ごめんね」




遠ざかる足音。しまる扉
つけっぱなしのDVDはクライマックスにさしかかっていた。




初恋以来 俺の恋はずっとこう。








「加奈」





ああ 痛い 痛い

だったらもう恋をしなければいいのに


どうせ、俺はまたするんだろう。


で、また失恋?


「はあ……」

とりあえず鬱蒼とした気分でも変えようと思った先
マンションの一階にまとめて設置されているポストを見て、俺は中の手紙をやぶいた。

病院からの手紙




だって、いらないだろ。



カウンセリングだけでもきてくださいって?





なんで行く必要がある。



俺は健康だ
いたって健康





ただ普通の男と違って胸があって

陰茎がないだけ






それだけに、すぎないじゃないか。
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