セカコイ 長編

□ひきこもりっちゃん
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暗い ここはとても暗い…。

そして息がし辛い

深海みたいだ









なんて居心地がいいんだろう。






まるであの人の隣に居るみたいなんだ。





















「ったく まじかよ」


やってらんねー
一方的に電話を切って それからベッドに横になった。



……電話の相手は 横澤だった。


横澤から言われた。
俺はずっとお前の面倒ばかりみてられん
倒れられたり、いざってときには駆けつけられない
だから両隣くらいは顔見知りになっとけ
と。


……別に倒れたら倒れたでそん時はおとなしく死ぬからいいよって言ったら
怒るよなあ


親友なんだから危険くらいテレパシーで察知して助けにきてくれよ



ったくめんどくせぇ



でも後からあいつに怒られるほうが面倒くさい


どうすればいいんだ



あいさつだけでもしとけばいいか



つまらないものですが
といって本当につまらないタオルを片手に
俺は片方の部屋にあいさつをすませた

その部屋に居たのはおばさんだった

俺より先にこいつが倒れそうだよ
役に立たないな






もう片方に かけるか。
















そうして チャイムを鳴らしたのが


運命の



再会だった。













(でてこねぇ)





いや これだけじゃ出会わない。再会もなにもない。
なぜならそいつはピンポンだけで出てくるようなやつじゃなかったからである




「あのー 隣のものですがー」


『…はい』


(いるのかよ でてこいよ むかつくな)


「つまらないものですが あいさつのつもりで
渡したいものが……」


『………』


「あの すみません タオルなんですが
受け取るだけ受け取ってもらえませんか」


『…タオル? ちょうどよかった…。

買いにいかなくてすむ…






郵便うけに入れといてください』




感じわりぃなおい!!!






でも その澄んだ声
どこか懐かしい吐息 なんだろう

この感じは。


俺は荒んだ心のまま 扉をけろうと思ったが
なんか蹴っちゃいけない気がして

おとなしくタオルをつっこんで









その日は  帰った。
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