セカコイ 長編

□幽霊な恋人1
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なんか最近肩が重い。

学校でも あの憂鬱な家でもだ。

「はあ…」

嵯峨は軽いバッグを手に持ち直し
これが原因じゃないよなあとまたため息をつく。

風邪を口実に数日間引きこもってやろうか

心配するやつもいないんだし

いいだろう

そう思って自室に入ると 嵯峨はどこからか声を聞いた。


『せんぱ〜い』



怖い!

地味に怖い!


ソラ太を見るが、ソラ太はなにバカやってんの? みたいな顔をしてとっとと逃げてしまう。

結局嵯峨はこの日
怖くて寝れなくて 珍しく電気をつけて寝た。



「…あ〜だりぃ…」


もちろん目覚めは最悪
まだ、身体が重いし。


あの声は夢だったのだろうか。
てか 夢以外の何かであってたまるか
と思うのだが。


(幽霊が怖いだなんて絶対誰にもいえねえ…)

嵯峨は頭をかき、風呂に入って気分転換し今日は図書館に行こうとスケジュールを決めながら

ベッドから降り、開いた覚えのない本が散乱しているのを見た。

ソラ太に、こんな器用な真似ができるだろうか。

「一体…だれが」




恐怖のあまり乾いた声でつぶやいた

そのとたんだった。

本は勝手に閉じ始め…




「!?」


横にホイホイと積まれていった。


「いや、本棚に戻せよ」


嵯峨は突如起こったポルターガイストについついツッコミを入れてしまう。

すると しぶしぶというように
積まれていった本は順番ばらばらに本棚にしまわれていった。


こ こわい

けれどそれ以上に

嵯峨は勇気を振り絞って言う

「だれか…いるのか?」





部屋は 静まり返っている



嵯峨は背筋が凍るのを感じ
どこでのろわれたのかと真剣に考える

すると、背後からばふん! と間抜けな音がし
枕がすこしへこんでいた。

幽霊が嵯峨のベッドへダイブでもしたのだろう。


「おい! お前ずうずうしくないか!?」


恐怖が薄れていく。

そうだ。ホラー映画でも主人公が幽霊に勝てたケースがあったじゃないか。
たぶんこれはそれだ。
そんな悪霊ではないはず。
嵯峨は本を一冊とりだし、ベッドになげつけた


すると







「いったい!」


といって姿をみせたのは









同じ学校の制服の短髪の男だった。
しかもちょーよわそう。





「てめぇ歯くいしばれや」


「あ、やば! ショックで透ける力が!

ま、まってください先輩

わざと憑いてたわけじゃないんですー。
俺先輩のストーカー中に車にはねられて意識不明になっちゃってがんばっておきようと思ったら魂だけすっぽ抜けちゃって
ちょうどいいからストーカーつづけようとおもったんです
すみませんでした!」

ふわふわ浮いたままの少年はそうやって
土下座するが如何せん浮いているので誠実さはない




ていうか


「ストーカーなんていたのか…おれっ…」


気づかなかった自分がうらめしい。



「はい! もう幽霊になってからは先輩の部屋に入り浸ってましたから
独り言とか全部聞いてました!
落としたものも三秒ルールで食べるんですね先輩!」


「お前っ…一回殴らせろおおおお!!」









嵯峨政宗 17歳

このときはまだ












こいつに恋するなんて







思ってもいませんでした
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