セカコイ 長編
□愛の追憶
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「ごめん…。
気持ちは嬉しいんだけど
今好きな人がいるんだ…。
ごめんね、杏ちゃん」
りっちゃんは優しい。
だから申し訳なさそうな顔でそう言った
りっちゃんに
誰? とか 私はどうすればいい?
とか問いただそうとは思えなかった。
でもその
りっちゃんの 好きな人
が
どっかいっちゃえ
とは
一瞬だけど思ってしまった。
もしかしたら、それが祟ったのかな。
りっちゃんの好きな人はどこかへ行ってしまった。
そして
りっちゃん自身の心も
どこかへ行ってしまった。
何を考えてるかすぐに分かった
天真爛漫なりっちゃんは
もういない。
居るのは他人行儀で
作り笑い以外。
一切 笑わなくなってしまった
ただただ
悲しいくらい 優しいだけの
男の子だった。