セカコイ イメージ曲ss

□透明恋愛
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「なあ 井坂さんの話聞いた?
あいつってさ
丸川に転職できたの父親がすごいからだって
元は小野寺出版で人気作家ばっか担当してたんだってさ」

「そりゃあ今のエメ編での扱い不服がってんじゃね」

「てか井坂さんは実力あるけどさあ
あれどうなのよ」

「新人! って感じでガッツがあって
逆に暑苦しいよね」



よく 学校でいじめられ
転校しよう なんてガキがいる
でもそのガキは馬鹿だ

その学校が特殊なら
いじめが死ぬほどなら
たしかに転校はおススメする

しかしいじめの大概が本人にも原因があるもので

転校したって
自分が変わらなきゃ
結果も変わらない。

俺は今がそれなんだろうな
と思っていた。




転職したって 変わらない。







「はあ」


最近 ため息が増えた。
そういうのに気づく高野さんや羽鳥さんの前ではしないが
コピー作業をしながら一人
ため息をつくのだ。



あ 枚数間違えた。


するとエメ編近くをほかの部署のメンバーが通っていって

(最近売り上げが向上しているからむかつくらしい)

わざと笑い声を張り上げているのが聞こえた。
時折聞こえる俺の名前
しかし内容は聞こえないのだ
そのもどかしさが脳内で最悪な悪口を自分で作ってしまい
胸がえぐられそうになる。



そうだ そうだよ
昔クラスの子かばって数ヶ月いじめられたときも
こんなんだった。


あのとき


どうしたっけ



ああ



そういえば












(俺は此処にいない)




そう思うと ふっと軽くなったように感じた

なんだ小野寺出版でもこうしていればよかったのだ。



誰にも見えない
此処にいない
俺は









けど それって 悪魔でもイメージじゃんか。




「まじで」


俺は朝 寝癖を整えようと鏡の前に立ち
声をもらした。

後ろには散乱した服 本 一つのベッド

けど 人がうつってないんだけど





「透明…?」


ああ どうしよう
父さん
母さん

とか



先輩。




とんでもない現象


俺は どうやら透明人間になりました。
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