セカコイ イメージ曲ss

□インタビュア
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別れてから

いや 付き合ってもいないから
別れた
という表現は変だけど

俺と先輩が終わってから

幾度目の冬がきた。

手をつないで歩く恋人たちの中
俺は妬ましいという気持ちもなく
一人寒空の下を歩いている。


なんで妬ましくないかって
俺は恋のつらさを知ってるからだ

だからむしろ

がんばれ と思う。

まあ それも 赤の他人の俺には
関係のないことなのだけど。

ふと携帯が震えたのを感じ
取り出して見ると
大学の奴らからのメールだった。

就職活動が近づいてから急に風当たりがよくなった同じゼミのやつらを俺は無視し続けている。

就職活動ぐらい自分でやれ

そう思う俺はすでに将来が安定している。
だからいえるのだ。


メールよりも その上に表示された
電池の残量が気になったので
俺は携帯ショップに入った。

充電を無料で出来るからだ。


俺は適当に空いてるボックスに携帯を突っ込むと
いろいろな機種の携帯に目を向けた。



店内に流れている曲は
サビ以外特に変哲もない
何を言ってるのかもわからない
流行の曲だった。

かけがえのない命

だなんてワードを繰り返しているけど

実際此処にいる俺が
誰と代わっていたって

困る人などいないだろう。



友達もいない

(いるけど 気を許してはいない)

彼女もいない

(欲しいとも思わない)

家族も世話係も

(俺をみていない

いないのと同じ)


俺は一人だ。

だだっ広い町の中

俺は一人で宛てもなく 居るんだ。

「あのう。なにかお探しの機種でも…?」

「ああ すみません 見てただけです」

俺は充電している間
またせわしない町を歩く。


「…」

歩いている途中に大きなガラス窓をみて気づいた。

目つきが悪く

口もムッとしている

楽しくなさそうな顔

生きてるだけで 気分が悪いんだろう
俺は じゃあ死ねばいいんだろうが
それも面倒。
そしてそんな人間は俺以外にもうじゃうじゃ居るので
俺はありきたりな不幸に悩み
結局は一人で泣くしかない。


    失恋



俺の不幸のはじまりは

その一言だけで片付けられる。



「はぁ…」

ため息が白くなった
寒い 寒い

心も身体も凍てついてしまいそうだ。

このまま都会だけど
凍死できたらいいのに。


だって俺は生きてたって何度も何度も昔の傷を掘り返して慰めての繰り返し

もう誰とも分かり合えない

町の雑音が嫌すぎて


耳をふさぐことしかできない。
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