セカコイ 長編

□小野寺律=りっちゃん!2
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ぶわわわわ

と頬が赤くなる


「なっ なんっ…」


(いやいやいやいや落ち着け
ソラ太さんが考えてるへんなこと
が俺と同じとは限らない!)


「はいはい 赤くなるなって
理性もたんから

今日は健全にいこうな


このホッチキス、針使わないやつなんだよ
知ってた?」

そういってソラ太は
CMやらなんやらでやってたようなホッチキスを取り、律の手に置く


その際

ソラ太の手が律の手にふれて




「ひゃああああっ!」





叫んでから

気づいた


周りの目線 いや それより




(俺なにナチュラルに処女みたいな反応してんのおお!?
いや処女でもありえねえよいまの!)

ソラ太からの目線が 痛くて



「〜ったく、店でるぞ!」

若干怒り気味のソラ太につられて律は店を出て行ったのであった。



空気が二人をひやかすように

冷たい。

近くの噴水をかこむベンチに二人は腰掛けた


「ご、ごめんなさい…」


喫茶店に居たときは話がはずんだのに
此処にくるまでは終始無言だった。
ソラ太はため息をついたあと

律の頭に軽くさわる


「!?」


「別に怒ってねえけどよ

変な声だすな」


「す すみません 迷惑でしたね店の中で…」

「…人が健全にいこうって言ったそばから…」


「え?」


急に 引き寄せられた

すこし乱暴で
すこし慎重な手で


手は冷たかったのに暖かい胸元に
顔をうずくめる

ええっと これは つまり


(だ、抱き寄せられた!?)


ど どうしよう
近い

「あ…ああああのソラ太さん…」


キスとか されてしまうんだろうか

あずさが思い浮かぶ

え? いいの俺

このまま…


でも 抵抗する気おきないよ

だってすごい優しい手つきしてるんだ。
壊れ物だきしめるみたいに
取って喰おうってんじゃない
男の性を思わせる生々しいハグでもない

なんでだよ


出会い系とか なんのロマンもない
運命でもない出会いで

なんでこんなに

胸がはずむんだ。


するとソラ太は 思ったよりもあっさり
律を解放した。


「今日はここまで、な」


いたずら成功

とでも笑うようなソラ太は犯罪級にキラキラしていて
バッグにバラが散っているように見えたのは律だけではあるまい


「〜〜〜〜〜〜っっ」




なにが今日は だ
次会うときキスぐらいはするってことか!?
てかなんで次も会うのがお約束なんだ!

いろんな意識が混沌し

そして律は 一気にさめた



(って 次は次は
ってびびらなくても…もうお金回収あきらめて
これきりでさようならだし…
ましてや男とばれたら
俺この人に警察に届けられるかもしれないんだよな)



ソラ太の頭の中では

出会い系とはいえ 運命で

律は恋人

とでもうつっているんだろうか

しかし実際は滑稽なまでに違う

彼と彼の関係は

恋人ではない

加害者になるだろう人と被害者になるだろう人だ。



急に様子が変わった律に
ソラ太はクビをかしげた


「すまん やっぱ急にだきしめられんの
いやだったよな」


「いえ…驚きましたけど


いやじゃ ないです」


ただ 今から未来の別れの憂鬱さに
落ち込んでいるだけで


すると周囲が無駄にざわめきはじめた。

なんだ?

こっちは落ち込んでるってのに



「「…あ」」

ソラ太と律はハモった。

しかしそんなことも気にならないくらい




水が


夕日の光を纏い赤く染まりながら
大きく噴き上げられ
像を取り囲み舞っていた。


キラキラとした水の粒が遅れて、散る。


そんな光景を

二人はただ 呆然とみつめ





「綺麗ですね」

と律はつぶやいた。







そっか どうりでさっきからこのベンチをカップルが覆ってるとおもった
一日に一回 この時間帯だけ
この噴水はこうやって派手な演出があるらしい。

ソラ太の目は 子供みたいに輝いている


「あぁ…なんか良いネタ…いや

良い思い出になりそうだ」



いつのまにか


手をつないでいた

でもそんなことを気にしないくらい













二人はただただ立ち尽くしていた。
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