短編

□六年生を送る会
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忍術学園には、表と裏の六年生を送る会がある。
表の六年生を送る会は、全学年全員参加の学園内で行う和やかな会。
裏の六年生を送る会は、上級生のみ参加の裏々山で行う殺伐とした会なのである。








裏々山 一本松付近




玲「さて、私達もとうとう送られる側だねぇ。(苦笑)」

葵「私達が先輩達を送る時は、一回も勝てなかったよねー。(苦笑)」

仙蔵「私達もヤツらにとって同じ存在なのだろうな。(苦笑)」

小平太「なんで苦笑しながら言うんだよー。(苦笑)」

文次郎「お前だってしてるだろうが。(苦笑)」

留三郎「お前らは、上級生の委員が居るもんな。(苦笑)」

伊作「僕と留さんは、居ないもんねー。(苦笑)」

玲「誰が向かって来るか、今から楽しみだよ。(ニッ」

葵「誰が来ようと負かすだけだけどねー。(ニッコリ」

仙蔵「当たり前だ。」

伊作「葵の口からそんな言葉が出てくるとはねー。なんか意外。(苦笑)」

葵「だって、私達だって先輩達みたいにやりきりたいじゃない!(ニコッ」

長次「…そろそろ始まるな…。」

玲「…みんな、小指出して?」

一同「小指?」


((スッ))


一同「苦無??」


((スイッ))
((ハラッ))


一同「!?」

玲「絶対に勝ってみんなでまたこの場所で会いましょう?これは、約束の証。」


全員の小指に自分の髪の毛を巻き付け、指切りをする。


玲「葵、音頭とって。(ニコッ」

葵「わかった!(ニッコリ)
指切りげんまん嘘ついたら針千本呑ーます!指切った!」

玲「じゃ、この場所でまた。散!」


((ヒュンッヒュンッ))


留三郎「相変わらず、アイツは粋な事するな。(苦笑)」

伊作「それが、玲だよ。(苦笑)」

文次郎「さて、俺達も行くか?」

小平太「そうだな!」

仙蔵「葵、本当に一人でいいのか?」

葵「うん、一人で大丈夫。というより、一人がいいかな。(苦笑)」

仙蔵「そうか。」

長次「またこの場所で会おう…。」


((ヒュンッヒュンッ))










同時刻裏々山 ふもと



雷蔵「絶対に勝てないってのは、わかってるんだけどなー。(苦笑)」

勘右衛門「向かって行きたいよな。(苦笑)」

滝夜叉丸「やはり、七松先輩は、持久戦の方がお強い方だ…。どうする?滝夜叉丸!」

タカ丸「…滝夜叉丸君が、迷走モードになっちゃってるよー?久々知君!」

兵助「…僕達の委員会は、委員長が居ないからねー。(苦笑)」

八左ヱ門「アイツらなりにしっかりと対策立ててるんだろうなー。(苦笑)」

喜八郎「…まぁ、勝てる訳がないからこそ対策を立てて頑張るんですよー?」

三木ヱ門「潮江先輩に勝つにはどうすればいいんだ!」

兵助「(…三郎、落ち着き過ぎじゃないか?)」

八左ヱ門「(怖いくらいに落ち着いてるよなー。)」

三郎「二人とも、聴こえてるぞ?(苦笑)」

八左ヱ門「マジか!」

雷蔵「でも、本当に一人でいいの?三郎は。」

三郎「逆に一人がいいんだよ。」

勘右衛門「葵先輩とやり合えるなんて楽しみだな。」

兵助「へぇ、勘右衛門がそこまで言うなんて珍しいね。」

勘右衛門「雷蔵だって楽しみだろう?」

雷蔵「中在家先輩と戦うこと?…まぁ、楽しみじゃないって言ったら嘘になるかな。(苦笑)
…三郎は?」

三郎「…ゾクゾクするよ。あの人の強さは尋常じゃないからな…。倒したいって思う自分と、あの人に負けてもっと強くなりたいって思う自分もいる。(…勝って想いを伝えたい自分と、想いを伝えるのを恐れている自分もいるけどな…。(苦笑))」

雷蔵「まぁ、気楽に頑張ろうよ!負けて元々なんだから!だけど、諦めずにね!」

四・五年生一同「おぉ!」
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