大空を我が色で染めあげし妖艶なる紅の魔神の物語


昔、昔―。


あまりにも残虐なる性と血を好むことから、残酷なる超越者と恐れられし、妖艶なる貴婦人がおりました。



漆黒の闇の中より現れ、気まぐれに己の思うがまま力をふるって鮮やかな鮮血の花を咲かせる、恐るべき貴婦人の魔神です。


血を好み、自身の瞳も鮮血のごとき艶やかさを持つことから、かの貴婦人は紅の魔神と呼ばれ、同胞の超越者達からも畏怖されておりました。


紅の魔神は、とてもきまぐれ。


自分の暇つぶしに世界を創ったり、滅ぼしたり―。


かの紅の魔神の前では、万物全てが暇つぶしの道具なのです。



そんな紅の魔神は、ある日のこと、あらぬ心ない嘘で苦しむ大空の少年を見つけます。


紅の魔神は思いました。


この大空の少年は、自分にこのうえなく楽しませてくれると。


そして持ち前の気まぐれから、その大空の少年に手を差し伸べたのです。


時には大空の少年を我が色で染め上げ、時には力を与えて本懐を遂げさせる。



これは、残酷で気まぐれな紅の魔神と、彼女に魅入られてしまった大空の少年と物語―。







     

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