人々が創造せし大空の物語
□大空の守り人達(本編)
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「デーチモよ。そなたにチャンスをやろう。今一度、新しき世界で新しき生を歩んでいくのだ。」
「新しき世界で、新しき生を?それはどういう意味ですか?初代。」
「ボンゴレリングの縦の時間軸の力を使い、平行世界でもう一度生まれ変わるのだ。デーチモよ。そして彼らと、今度は揺るぎない絆を築くのだ。」
「それってつまり、リボーン達ともう一度やり直せと?」
「そういうことだ。」
初代にそう言われて、ツナはしばし考え込んだ。
もう一度やり直す。
リボーン達と元の関係に戻る。
それはかつて、美々に嵌められてしまってからのツナがずっと願い続けていたもの。
心から望み続けていたものだった。
けれど・・・。
今のツナは、なぜかその願いが自分の中で薄らいでしまっている事に気づいた。
ツナにした事にに対して悔やむより、自分達を騙していた美々に怒りをぶつける事を優先し。
彼らの仕打ちによって命を絶ってしまったツナの死を悼むより、美々への制裁を優先させた。
そんなリボーン達ともう一度やり直す?
そう考えた時、ツナはかつて自分を裏切り、罵倒し、暴力を振るっていたリボーン達の姿を思い出して体を震わせた。
暴力を振るい始めた時は、自分を反省させるためと言っていたリボーン達。
けれど次第に彼らは、美々のためと言いつつ自ら望んでツナを傷つけていくようになっていた。
死したこの身でも、鮮明に思い出してしまう。
自分を陥れた美々と同じくらい、醜く笑いながら暴力を振るう彼らの姿を。
彼らは心からツナに暴力を振るう事を楽しみ、自分達の暴力によって傷ついていくツナの姿を見て心から喜んでいた。
そんな彼らともう一度やり直す?
そんなの・・・もう無理だ!
だってもう自分は、リボーン達を受け入れるなんてことは出来ない。
リボーン達と以前のように笑いあう事なんて出来ない。
リボーン達を、心から信じる事なんて出来ない。
リボーン達と、かつてのような関係を築きなおすなんて・・・出来ない!
そう思った瞬間、ツナは初代に叫んでいた。