小ネタ集
□体操着
1ページ/2ページ
「散らかってるけど…てきとーに、座ってて」
「はっ、ハイ!!」
先輩はそう言うと俺を1人残して部屋を出て行った
相変わらず床には沢山の本やDVDが沢山積み上げられていて、生活感が溢れた、以前見たままの、先輩の部屋だった
「…あっこの本、先輩も持ってるんだ」
所々が古めかしく毛羽立っており、よく読み込まれた様子のハードカバー
そんな些細な事が凄く嬉しくなってしまう
自分も同じ本を持っていて
先輩も俺と同じ本が好きだったりすることが
「なんか凄く嬉しいなぁ…」
胸が一杯で浮き足立った気持ちで視線を横に移すと真っ白なシーツを纏ったそれがダイレクトに目に飛び込んできた
先輩の部屋の…ベッド
同時に自分の心臓が跳ね上がる
……瞬時に連想してしまう、先輩との…
「き、今日も…するのかな…」
先輩はその…凄く…優しくしてくれるけど
その行為自体の身体の負担はまだまだ慣れなくて、恥ずかしくて自分は何も出来なくて
先輩はこんな俺で満足してくれてるのかなって
本当色々考えてしまう
でも先輩とのキスや
触れられたりすることは
自分が訳がわからなくなるくらい気持ちよくなってしまって…
痛いけど、本当に先輩の温度が心地よくて
抱き締められる度に俺は嬉しすぎて
心臓が酷く苦しくなってしまう
「…ってなんか変な事思い出しちゃったな」
途端にそわそわと落ち着かなくなり俯いたままかぁっと耳まで真っ赤になってしまった顔をふるふるとさせながら律は邪な考えを払拭しようすると、ふと壁に掛けてあった白いシャツに目が止まった
「先輩の…体操着」
脳裏を掠める
あの時の記憶が蘇っていく
その光景を見てからまだ数ヶ月もたっていない
たまたま教室の窓から見えた嵯峨先輩の体操着姿だった
体育の授業の真っ最中で
いつもみる先輩の違う服装や表情にドキドキして
俺はつい釘付けになってしまって
授業中にも関わらずクラスメイトや先生にバレないように
こっそりとそれを目で追って焼き付けていたのだった
好きです、
好きです先輩…
気持ちがあふれる度に胸の中の水溶液は
そんな一瞬のことにも簡単に容量を増していった
今も先輩の側にいるだけでもそれは一杯一杯だ
今こうして先輩の部屋に居る事が夢みたいな事なのに
恐る恐るそのシャツに近づいてみる