パラレル小部屋

□丸川純情学園〜高律編〜
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小さな頃から本を読むことが大好きだった

父が出版業を営んでいるせいからかどんな本にも興味をもち 、気がつけば自分の部屋は本で埋め尽くされていた

学校でも図書室に足繁く通い、そこにある全ての本を読み尽くしてしまいそうになる程本の虫と化していた

最初の目的はそれだった、しかしいつしか目的はもう一つできてしまっていた

それは憧れの人、高野先輩を一目でもみたいから、そんな淡い気持ちを抱き
放課後には必ずといっていいほど図書室にいき、ストーカーのように物影から高野先輩を見つめてしまっていた

先輩はいつも同じ席で本を読んでいた

俺は先輩の読んでいる本に興味をもち、先輩が借りた本を探し出してはそれを自分が又借りて読むことを繰り返していた

そんなことで2人の距離が縮まるなんてことはない

しかし俺にとってそれは先輩と同じ気持ち、時間を共有できたんじゃないかと思えた

同時に先輩のことを前よりももっと知れたんじゃないかという気持ちになることができ、胸が一杯になっていた



先輩は剣道部の部活の時間になると図書室から剣道場へ向かう


今まで来ていた制服から剣道着と袴姿に着替えて、頭に手拭いを巻き、面、籠手、胴、垂、を身につけ先輩は剣道の練習に打ち込む


顧問の教師と激しく竹刀で打ち合い、上手く間合いをとって果敢に踏み込んで行くがびくともせず、

時にはそのまま跳ね返されてしまったり、まだまだと罵声を浴びたりと練習は厳しい

しかし先輩はその度にけして弱音を見せるようなことはせず、手厳しくされてもご教授ありがとうございましたと組み合いが終わるたびに言っていた

厳しい練習がおわった後も1人残って地道に足さばきや、竹刀での打ち込みをやっているのも見てきた


そんな姿をずっと俺は遠くから見つめつづけている





先輩が好きですーー

いつしか俺の中の気持ちは日に日に増して気がつけば3年…

一方的に思い続けて俺の中での先輩への気持ちは自分が把握できないくらい溢れすぎてしまっていたのだろう
あの瞬間、もう限界という所まできてしまっていて

あの出来事が引き金となり、一気に流れ出るように言葉に形として表してしまっていたのだったーー
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