パラレル小部屋

□丸川純情学園〜高律編〜
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「私、高野先輩に差し入れしちゃおうかな〜」


ぐしゃっ

「りっちゃん!ジュースこぼれてる!」

「えっ…あっ!!」

手の中にはつぶれたジュースのパック、机の上にはジュースを握りしめてこぼれた液体が盛大に広がっていた

「ばっか!何やってんだよ!」

「ご、ごめん…」

机を拭くのを手伝って貰いながら翔太が俺の耳元で囁く

「こりゃライバルは多そうだなぁ」

「う…」

翔太は俺の肩を叩いてニヤニヤしながらいう
翔太には俺が先輩と付き合い始めたことはまだ伝えてはいないが、図書室で話をしたりできるまで仲良くなれたことは伝えている
翔太には先輩のことをずっと相談してきたから心から喜んでくれた
翔太も最近気になる人がいるらしいけれど、相手は誰かまだ教えてはくれない
また見てくれだけに惚れてなきゃいいんだけど…

「ってかりっちゃんも明日試合見に行くんだよね?」

「うん」

「じゃあアイツらに負けないようなことしなきゃな〜」

「負けないようなことって差し入れとか?」

「差し入れもだけどさぁ…もっと違うこと?」

「違うことって?」

俺を見て肘をついてニヤニヤする翔太を見ながら疑問に思って俺は変な顔をしていると耳元で翔太が呟いた

「…俺のために頑張って下さいっていってチュ〜とか?」

「はっ!?何いって…うわあっ!」

俺は驚いて真っ赤になって翔太から勢いよく離れると、椅子からひっくり返りそうになってしまう

「…ふ…くっくっ冗談だよ冗談〜顔真っ赤にしちゃって…」

その様子を見て翔太が大笑いした
本当おちょくり甲斐がある奴!と言い、俺は余計真っ赤になって翔太に怒った

そ、そんなこと言える訳ないじゃないか!
…曲がりなりにも先輩と付き合い始めた訳だけれどもでも

男の俺なんかに
先輩は本気じゃないかもしれないし

「…でも前みたいに先輩を遠くから見てるだけの俺ではなくなったから
先輩が俺の名前を呼んでくれるだけで
先輩の目に俺が写るだけでそれだけでも俺は幸せな気持ちで一杯になれるから、それで十分なんだ…」

「…健気っつーか純粋っつーか…明日は頑張って応援してこいよ」

「…うん!!」

翔太は笑って俺にそう言った

俺はスポーツドリンクとハンドタオルを用意した

差し入れすると言った女子に張り合う訳ではないけど、負けたくないって気持ちが湧いてしまったのは事実で
先輩の為に何か出来ることを俺なりにしたかった
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