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□会長受け
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連れてこられたのは林の中の温室で
もう数十年前に使用されなくなったそれは大分劣化が進み汚れては見えるが雑草などは職員が掃除しているため内部は清潔だし人はあまりこない
俺はよく授業をさぼるときにここを使うのだ。
俺を引っ張って来た相手がそれらの情報を知っているわけはないが。
温室の中にはいるといつ設置されたのかわからない温室とは真逆の新品のようなベンチに総長に促されて腰掛けた
正直未だに俺は自分がどうしたらいいのかわからなかった
この時にはまだ奴が変態だとは気づいていなかったのだ
興味、というのは人としての単純なものだと。
「オレね、葉崎 春季(はざき はるき))つぅの
よろしくね、はんなちゃん」
総長、…葉崎はにこにこと自己紹介
「さっきから気になってんだがその呼び方やめろ」
「え、はんなちゃんってかわいい名前じゃん」
その女っぽい名前がやなんだ、
と返そうとした
「じゃぁ…はんな」
にへっと笑ってナチュラルに呼び捨てにされた。
なんか馴れ馴れしいとは思っていたがそれに拍車をかける
馴れ馴れしいから図々しいに印象がグレードアップして、しかし葉崎は嬉しそうに笑っているから溜め息を吐いてまぁいいかと思い直した
が。
「はんな、」
名前を呼ばれ僅かにそちらを向くと
唇に、唇の感触…?
目の前を柔らかいブラウンがあってそれが鼻を掠めてくすぐったい。
「んっ、…んんっ?!」
まっ、え、何?!
口と口が触れあっていることに気づき相手を押し返そうとするが逆にその手を掴まれて指を絡められる
長い口付けに酸素が足りなくなり必死で喉を鳴らして訴える
が、苦しさでわずかに開けた唇の隙間から相手の舌が侵入して来たのだ
その時本能が危機感を感じ唯一自由な足で葉崎を蹴り退かした。
荒い息を吐きながら葉崎を睨む
変態だ、こいつは。と
図々しいから変態にさらにグレードアップしその視線に殺意すら込めて睨み続けた。
けど葉崎は何やら上機嫌で笑顔を浮かべていた
「てめぇ、いきなりなにして…」
「いきなりって…いやぁ、だってしたかったんだもん」
欲望をコントロールできない変態がそこにいた。
さらに妖しい笑みを深める葉崎に腹が立ったが
こいつの相手はもう無理、と判断して立ち去ろうと決めた。
「あのさぁ
オレ綺麗なものが大好きなの
だからはんなに一目惚れしちゃった」
語尾にはーとが付くような軽い告白に俺の怒りは心頭した
葉崎から離れようとしたがその言葉に思わず葉崎に詰め寄った。
「一目惚れだあ?ふざけんな馬鹿やろう!!いきなりあんなことしやがって変態がぁ!!」
という俺の叫び声と、葉崎の頬をはたく音が盛大に温室の中に響いた。
一目惚れなんてどうせすぐ飽きると訴える俺の元に毎日門をぶち破りやってきては
告白し続ける変態と、それに絆されてしまう俺が付き合うのはまだ少し先の話。