RE-TURN

□しあわせなゆめ
1ページ/4ページ

ドリーム設定





 あの日から一度も忘れたことはなかった情景がある。
 それは瞼を閉じれば目の前に蘇ってくる仲間達の声と、先生の優しい声。

「熱出すのなんて何年ぶりだ?」
「うーん、覚えてないなぁ」

 閉じた瞼の上からひんやりとした手ぬぐいと、面倒なんだか優しいんだかわからない銀時の優しい声。

「だいたい美桜は加減ってモンを知らな過ぎんのよ。
 人生、適当にやったってなんとかなるんだから、もうちっと力抜いたらどうだ」
「それ、こないだ近藤さんにも言われた」
「例の病気はもう治まったんだろ?
 そんなに一生懸命疲れなくたって」
「それも土方に言われた」

 黙り込んでしまった銀時を小さく笑う。
 ああ、なんだかこんなに落ち着いた気分は久しぶりな気がする。

「少し、眠るね」

 今、瞼の上に手ぬぐいが載っていてよかった。
 だって、こんなにも目が熱い。



* * *
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ