B-girl

□石切り
1ページ/2ページ

 ひゅんっと水面を小石が跳ねてゆく。

「腕は鈍ってないね」
「あったりまえよぉ〜」

 彼女は河原に座り、小石を数回手の上で弄ぶ。
 バスケを止めてから何年経とうと、変わらないのだろうと思う。

 俺も石をとり、水面を走らせる。

「…リョーマこそ、腕鈍ったんじゃない?」
「うるさいよ」

 彼女の小石が跳ねた数より、一回少ない。

 いつもいつも彼女にはほんの少し、手が届かない。

 手加減されているようで、でもそれが心地よくて。

 ねえ、いつかそこに追いついたら。

 俺のものになってよ。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ