俺とヤンデレの365日

□【 二章 】緋色の月
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監禁、された。
手足首は錠と鎖でベットに繋がれ動かす度に金属が擦れる音がする。
隣には生温い温度。
恐る恐る目線を遣ると、
其処には俺の傍で横たわり寝息を立てている我妻がいた。
「っ…!!」
背筋に寒気が走り思わずビクリと身体が跳ねる。
ぎしっと軋んだベットの音で目を覚ました我妻は
『お早う』
なんて暢気に目を擦り乍ら声を漏らすのだ。
『1日中目を覚まさないんだから、死んじゃったのかと心配したよ。』

むくりと上体を起こした彼は
不気味な笑みを浮かべてつぶやく。
俺の額にはタラリと冷や汗が垂れ、恐怖に潰されそうだった。
家に帰れない。
優雅はどうなった?
何故監禁されている?
痛いことされるのか?
もしや殺されるのか?

歪む俺の表情を観ては不適に楽しそうに笑みを浮かべる我妻は
『ご飯の用意でもしようかな』なんて呟き俺の頭をくしゃりと撫でる。
日が差し込む方角から考えれば今は朝だ。
「ここ…どこだ」
『僕の実家、僕の部屋』
「なんで俺を拘束してる」
『逃げないように』
「ふざけんな、外せよ此れ」
じゃらりと鎖を鳴らし我妻を睨む。
が効果はなくふわりと笑んだ彼は部屋を後にした。


それから30分程経っただろうか。
始めの10分近くは足や腕をばたつかせどうにか鎖から逃れようとしたのだが
やはり鎖は離れずしっかり絡み付いていて
枷が手足首に擦れ傷になった。
無駄だと悟った俺は次に部屋を見渡す。意味もなく。
扉は襖で床は畳。
部屋の真ん中にはちゃぶ台。
なのに洋式の寝具がある滑稽な図。


部屋を目で探索し終えついに暇になった頃に
我妻は丁度帰って来た。
手には梵(ぼん)を持っている。

『煮物とか、好きかな?』
…俺が小さく頷いて見せると彼はベットにぐるぐる巻きにしてあった鎖を伸ばし俺をベットに座らせた。
相変わらず飼犬のように繋がれたままだが起き上がれた事に少しばかり安堵。
『はい、口開けて。』
我妻は煮物の里芋を箸で摘み俺のクチの前へ運ぶ。
「い…らない」
首を左右に振り拒むとその直後
タイミング悪く腹の虫が啼き俺は赤を走らせた
顔を左に背けた。
『…毒なんて入ってないよ。
お腹空いてるでしょう』
ぱくり、我妻は煮物を口に放り入れ俺に証明してみせるとまた口元へ煮物を運ぶ。
つい空腹に負け煮物を口にすると我妻はゆるりと微笑みを浮かべ『美味しい?』と小首を傾げて
「…そこそこ」つんと言い放ってみせた俺の口を指で突くのである。


何やら和やかな雰囲気になってしまったのた。
しかし俺はまだ不安なのである。
「いつ、家に帰してくれるの」
そう尋ねると彼は


『一生帰さない』


そう呟いた
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