狂想曲
□もっと近くで君の横顔見ていたい
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バイトからの帰り道
いつもより月の光が明るく優しく照らしてくれているような気がする。
「綺麗だな…」
月を見上げたら、自然と言葉がこぼれた。
「…そうだね」
隣を歩いていたあいつは夜空から視線を寄越して、微笑んだ。
月は人の心を惑わすというが、本当なのかもしれないな…
だって、あいつと並んで帰るのも悪くないなんて思ってしまったんだから…
優しく微笑む碓氷から、また月に視線を戻しながらそんなことを思った。
*─*─*─*─*
「綺麗だな…」
隣りを歩く彼女が呟いた。
月にやっていた視線を彼女に向ける。
月に照らされた彼女の横顔は少し微笑んでいて、とても美しかった。
「…そうだね」
月ではなく彼女を思って言った。
彼女は俺をちらりと見て、また月を見上げた。
月ばかり見ているから、少し嫉妬したけど、でも今は月明かりに照らされる彼女の横顔を見ていたいと思ったんだ
もっと近くで君の横顔見ていたい