物語
□アイスクリーム
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2学期が始まって数日。
暑さのピークは過ぎたのかと疑問に思うほど暑い。
夏休み中は涼しいところ(冷房の効いた自宅やメイド・ラテ)で過ごしていたせいか、今までよりも暑く感じてしまう。
新学期+暑さでだらけている風紀を正すべく、俺のかわいい彼女は鬼となり、校内をねり歩いていた。
――放課後
いつものように生徒会室に迎えに行くと、いつもより疲れている彼女がいた。
他の役員は既に下校しているためか、気だるそうな雰囲気が漂っている。
「会長ー、まだ終わらないの?なんか疲れてるね。」
「ああ、碓氷か。」
俺の方にちらりと目を向け、すぐに手元の資料に戻す。
いつもの「先に帰れ!!」という照れ隠しが聞こえないため、どれだけ疲れているかわかる。
「暑いし、男子はだらしないし、いつも以上に体力を使ったからな」
「お疲れ様。もうそろそろ下校時刻でしょ、一緒に帰ろv」
俺は鮎沢に近づき、背後から抱きついた。
「っ…お、おい碓氷!?離れろっ!!重いし余計に暑いだろ」
鮎沢は残暑のせいだけではない暑さに、頬を赤らめながら身じろぐ。
「えー、じゃあ暑くなくなったら抱きしめていい?」
「はぁっ!?なんでそうなる。つか、いい加減離れろっ!!」
更に顔を真っ赤にしながら、俺を押してくる。
しょうがないなー、といいながら俺は身体を離す。
本当はもうちょっとくっついて居たかったんだけどね…
鮎沢はそんな俺の気持ちには気づかずに、真っ赤な顔を隠すように俯き資料を片づけ、鞄にしまう。
きっといっぱいいっぱいなんだろうなと鮎沢の気持ちを思って、クスっと笑ってしまった。
「何だよ、何笑ってんだ?」
俺の笑い声に気づいた鮎沢が睨みつけながら言う。
でも、そんな赤い顔で睨まれてもかわいいだけなんだけど。
「んー?別に何でもないよ?準備できたなら帰ろ?」
俺はわざととぼけてみせる。
手を繋ぎたいけど、また「暑い!」って言われそうだなぁ…
「おい碓氷!帰るんだろ?置いてくぞ」
考えている間に支度を終えた鮎沢が、俺に声をかける。
生徒会室を出て、並んで歩き学校を出た。