物語

□協力要請
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「お疲れ様でした。お先に失礼します」

美咲はさつきさんに挨拶をして、裏口のドアを開けた。

そこにはやはり変態宇宙人=碓氷の姿があった。
「お疲れ様、美咲ちゃん」
いつも以上の碓氷の笑顔に、本能的に後ずさる。

「なんだ、何を企んでる?」
引きつった顔で美咲が尋ねると、碓氷は更に笑みを深くする。
「え〜、俺別に何も企んでないよ。人聞きが悪いこと言わないでよ。」

この言葉と笑顔で美咲は本能が正しかったことを悟る。
逃げ出そうとした瞬間に腕を掴まれた。
「企んではないけど、協力して欲しいことがあって…」

自分で何でもできる碓氷が珍しく“協力して欲しい”って頼ってきたので、美咲は驚く。以前、碓氷は「結構頼ってるよ」と言っていたが、実感がない美咲は不満だった。自分ばっかりが頼ってしまっているようで…。
だから、嬉しかった。少しでも対等になりたいと思っていたから。

「な、何だ?私に協力できることなのか?」
嬉しさを隠しつつ聞いてみる。
本能の警告を忘れた美咲は、碓氷の企み嵌まってしまった。

「うん。美咲ちゃんにしかできないこと。とりあえず、俺の家に来て欲しいんだけど…」
「ったく、しょうがないから行ってやるよ。」
美咲は嬉しさを隠そうとぶっきらぼうに言ったが、隠しきれていない。
そんな美咲を見た碓氷は微笑んだ。
それは、美咲の可愛さとこれからの楽しい時間を想像したからだった。
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