指先が描くのは
□第1章 汝は我が剣となれ
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第3話
白を基調に金で縁取りされたシンプルなワンピースをエーテルで構成して彼女に着せる。
ほう、と珍しげに声を漏らした彼女はくるりと一回転。
「なかなか気にいったぞ」
「それは良かった。…で、単刀直入だけど、あなたは何?」
本当に単刀直入だな、と苦笑し、彼女は私を見た。
「聖杯戦争は分かるか?」
「…ええ。それを調べに私は冬木へ来たもの」
「ふむ?参戦しに来たのではないのか。まあ、いい」
少女は自分の胸に手を当てる。
「私はその聖杯戦争の賞品たる聖杯だ」
「…は?」
「信じられぬか?まあ無理もない。正確には聖杯の正常な部分だがな」
少女の正体は聖杯。しかも正常な部分だという。
正常な部分、それが嫌に引っかかる。
「…正体が聖杯、というのも信じがたいけれど、正常な部分?とは…」
「そうだな。それを説明するには第三次聖杯戦争に遡るのだが…」
少女は空中に図を描きだした。
何の造作もなく魔力を使うその様子にさえも閉口するしかない。
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